5頁

誰かが 少女の髪を

誰かが 少女の肩を抱いた

はばかれるように ただぼろぼろと

涙だけがあふれ出た


与えられたのは 薄い毛布

申し訳程度の干し肉 ゆるすぎるかゆ

そんな粗末なものでさえ

冷えてたことを 飢えてたことを思い出させた


雲は重く 刻々と寒さが増してくる

少女の頬に はらりと落ちた雪を

誰かが ほろってくれ

誰かが身を寄せ 温めてくれた


少女は 幼すぎた分

まだ よかったのかもしれない

何も分からない分

これからの不幸を 想像さえもできないのだから


年かさを増せばますほど

少女たちの顔は青ざ 血の気は失せ

これ以上 何から逃れようと言うのか

頭から毛布を覆い 気配を消して

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る