第11話 どういうことだ?
「誰も刃物なんて持っていないって、どういうことですか?」
わたしは思わず聞き返した。
「何度もチェックし直したが、誰もはさみやカッターといったひもを切るような道具は何一つ持っていないんだ。」
「おいおい、やっぱそれじゃあ俺たちの中に犯人はいないってことじゃねえか。」金物屋のおじいちゃんが我慢の限界を迎えている。
「あの、僕たちもう休憩に戻ってもいいですか?たこやきも結局買えてないし…」
「そんな!絶対にあのとき風船に近づいたのははっぴを着た人でした!」ヨッシーが声を上げる。
「わかっとる。みんなヨッシーの記憶力を信じとる。大丈夫や。モモタとギンタの聞き込みやうちのドローン調査だって間違ってないはずや。」
「金物屋のおじいちゃんだったら透明な包丁とかつくれるんじゃないの?」「たしかに!」「そうだろ!」「いぇい、解決!」ハイタッチするモモタギンタにさらにおじいちゃんは眉毛を吊り上げる。
「お前ら、バカ言ってんじゃねえ。生まれてこのかたずっと金物屋をやってるが、透明な包丁なんてもんがあってたまるか!そんなら、そこの八百屋さんの方が毎日包丁握ってんだろうよ。」
「毎日包丁握ってるからって疑われるんですか?」八百屋のおばさんがおじいちゃんに詰め寄る。
するとその後ろから散髪屋のおじさんが
「怪しいですよね。・・・第一風船持ってるし。」とつぶやいた。
「なによ!あんた毎日糸みたいな髪の毛切ってるんでしょ。刃物なしでひもを切る方法くらい知ってるんじゃないの?」
「僕を疑っているんですか?」
3人のけんかを見ていた駄菓子屋のおじさんが
「俺は駄菓子屋だ。刃物を使う商売じゃない。俺は関係ないみたいだな。協力できなくてすまんが失礼させてもらうぜ。煙草が吸いたくてたまんねえんだ。」といって祭りに戻ろうとした。
そのとき、
「わたし、犯人わかりました。」
自分でも驚く言葉が口から出たのだった。
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