第83話 『ポチの力』
かの世界この世界:83
『ポチの力』
ポチの変身にも驚いたが、玄武を一撃で撃退した力には、もっと驚いた。
「どうして、あんな力が身についたんだ?」
「わ、わたし……なにかやったの?」
墜落のショックか、ポチ自身には自覚がない。しかし、言葉は人間のようにしっかりしてきてみんな感動した。
「「「おお(*_*)」」」
「ポ、ポチイイイイイ!」
「く、くゆしい……!」
ロキが、さっきよりも強く抱きしめるので手足をばたつかせる。それが、また可愛いので、また笑ってしまう。
「ロキ、ちょっと離してやれ」
タングリスに言われて、ロキはポチを肩の上に座らせてやった。必死でロキの首にしがみ付くのが可愛くて、みんな目をへの字にしてしまう。
「みんな、ポチの話を聞こう」
タングリスが身を乗り出して、やっと冷静に話を聞く態勢になる。
「実はな…………」
「ファウ(*_*;!」
説明してやると、真っ青になってロキのシャツの中に逃げ込んでしまうポチ。
「そ、そんなこしたの!?」
完全に忘れたのかと思うと、シャツの中をゴソゴソ動き回り「や、やめろ、くすぐったい!」と嫌がっているのか嬉しがっているのか分からないロキの襟首から顔を出した。
「思い出したよ! 空の上にぶっ飛んだら、シリンダーの群れの中に突っ込んで、そいつらが語り掛けてくるんだよ! シリンダーが、それも大勢が喋るんで、気持ち悪くてビックリした!」
自分自身がシリンダーであることを棚に上げている。
「山の向こうには四号のみんなが居るし、早く知らせなきゃと思って急降下して地面にぶつかりそうになって、山肌の木や草に掴まりながらスピードを落として……気づいたら、手や足みたいなのが出てきて、それでも、うまく停まらなくて、あちこちぶつかってビュンビュン飛んでるうちに、みんなのところに出てきてしまったの」
「それで、ヨタついていたんだな」
「そしたら、みんなが亀の化け物みたいなのにやられそうになっていて、それで、突っ込んだら……やっつけられたんでビックリした!」
「しかし、あの力はすごかったぞ!」
「フフ、あれは無意識のうちに我が闇の力をチャージしたのだ、ポチはすでに我がリトルデーモンなるぞ」
「あ、それはない」
「ポチ、試しに、あの木をへし折ってみろ」
「ラジャー!」
タングリスが示した木を見るや、一瞬のタメで突っ込んでいった。
セイ! ゴッチン……。
「アイターーーー!」
大きなタンコブを作っただけで、ヨタヨタとかえってくる。客観的には笑える状況なのだが、だれも笑わない。ロキなどは、ポチを抱え上げて、涙を流している。
「ポチ、おまえは、あの図体のでかい玄武の鼻先目がけて突っ込んでいったように見えたんだが、ただの成り行きか?」
「あ……えと……攻めるんだったら、あそこだなあって……思ったのかも……よく分かんないよ」
「ひょっとして……ポチにはアナライズの力があるんじゃないかな?」
「でも、今の木はヒビも入らなかったし」
「ひょっとしたら……ここ一番という時にしか目覚めない力なのかもな」
「よし、我が魔力によって、力を定着してやろう」
「いいから、行くぞ」
ポコン
「あいた! ブツことないだろ! タングリス、なんか言ってやれよ」
「見ておりませんでした」
「プン、では出発するぞ!」
全員が履帯の修理の終わった四号に乗り組み、タングリスがイグニッションキーを回した。
ブルン ブロロロローーー
後ろのエグゾーストから黒い煙が噴き上がり、ブルンと四号が身震いする。
「あ、ストップ! 町長さんにヒビが入ってる!」
ポチが手を上げてストップを要請した……。
☆ ステータス
HP:6000 MP:3000 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
持ち物:ポーション・55 マップ:6 金の針:0 所持金:500ギル(リポ払い残高35000ギル)
装備:剣士の装備レベル15(トールソード) 弓兵の装備レベル15(トールボウ)
技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー)
白魔法: ケイト(ケアルラ)
オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト)
☆ 主な登場人物
―― かの世界 ――
テル(寺井光子) 二年生 今度の世界では小早川照姫
ケイト(小山内健人) 今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
ブリュンヒルデ 無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士
タングリス トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係
タングニョースト トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属
ロキ ヴァイゼンハオスの孤児
ポチ ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 82回目に1/6の人形に擬態
―― この世界 ――
二宮冴子 二年生 不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
中臣美空 三年生 セミロングで『かの世部』部長
志村時美 三年生 ポニテの『かの世部』副部長
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