その笑顔は宝物

 たぬきを連れて帰ってきたんですよ、昨日。

 リサイクルショップから、2万円で。


 昨日はねぇ、忙しかったの。

 朝から車で隣の市に行って、市役所であれこれはなしを聞いたり、物件ふたつ見に行ったり、昼になったからフードコートでラーメン食べたり、そのあと一度帰宅して荷物まとめてリサイクルショップに売りに行ったり、そこでうっかり信楽焼きっぽいたぬきと目があってお持ち帰りしたり、リサイクルショップで引き取ってもらえなかった漆塗りのあれこれなんかを別のリサイクルショップに持ち込もうと思ったらコロナの影響で買取中止とか書かれてて愕然としたり、ついでだから西松屋に寄って子どもの服買ったり、夜ごはんの買い物済ませて帰宅してからうたた寝してたら「ごはん炊けてるじゃん! 早く食べようよ!」って急かされたり、なんか取り敢えず一日バタバタしてて、カクヨムしてる時間がさっぱりなかったです。


 そんでね、そう、たぬき買ったんですよ!

 リサイクルショップで!

 元々はリサイクルショップに要らない食器類を売りに行ったんですけど、買取価格は全部で680円でした。

 うんまあ、そんなもんかな。たいしたものなかったし。

 そんで、折角だからと思って店内を軽くうろうろしてて、家具とか見てたんです。

 いつ来ても売れてないイギリス製の200万円の巨大な棚とか、その少し隣にあるお洒落な和箪笥とか、衝立とか、ホットサンドメーカーとか、ぼろぼろなのになぜ40万もするんだろうって思ったギターとか、なんかいろんなものを見てまして、うろうろうろうろしていたら急にたぬきと目があったんです。

 そいつはレジ正面の奥の壁にちーんっとおすわりしてまして、6匹くらい並んでたかな?

 真ん中の子がね、めっちゃ可愛かったんです。

 なんだこいつめっちゃ可愛い! と思って、しゃがみこんでまじまじ眺めてみました。

 大きさはねぇ、60センチくらいかなぁ、ちょっと大きいんですよ、なんかさ、お店の入り口に置いてあるときあるじゃん、あんな感じ。

 あんな感じっていうか、まさにあれ。

 そいつがあまりにも可愛かったので、顔とか腹とかつんつんつつきながら

「おまえ可愛いなあ」

「うち来る?」

「うちの子になる?」

「連れて帰ったろか?」

って、たぬきに向かって話しかけてたんですよ。

 怪しい客ですね、そうっとしておいてください。

 そしたら傍にいた旦那が

「そんなに欲しいんなら買うたろか」

とか言うではありませんか。

 いやいや、今日の儲け680円よ、680円もらって2万円払ってたら世話ないわ、と一度断ったんだけど、

「いやでも欲しいんだろ、なんかの縁なんじゃない、確かにこれが一番顔可愛いから、いいよ、買うちゃるよ」

とか言うじゃん。

 買うてもらいましたわ、2万円のたぬき。

 たぬきちょっと重くてさ、お店の人たちがふたりがかりで梱包してくれて、車まで運んで乗せてくれて、いや〜嬉しいねぇとか思いながら本当に連れて帰ってきました。

 今は玄関のど真ん中に鎮座してます。

 ちょっと邪魔なんだけど、まあ帰宅したら笑顔で出迎えてくれるので、よしよし。

 ところでたぬきって信楽焼き以外にもあるのかな?

 もしかしたら信楽焼きではないかもしれないんだけど、お店の人に聞くの忘れたし、あとからネットでちょっと調べたらなんか信楽焼きっぽいので、信楽焼きのたぬきに違いないと思おうと思います。笑

 掃除機ぶつけて割らないように気をつけなくちゃ。


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