喜怒哀楽の ”怒”
コーヒーと1200円のパフェ(奢った)を平らげ店を出た俺達は暫らくどうということもない会話をしてから店を出た。
空を見上げる。
「さっきまでの大雨が嘘みたい。ほんの数十分で晴れるなんて……。天気予報では晴れだったけど……」
朝は映画を相当楽しみにしていたからな。まあいい。これで天気予報の通りだ。映画館がやってなかったときはどうしたものかと思っていたが、パフェのおかげでなんとか機嫌を取り戻せた。とにかく、これで地球は救われた。強引な天候変化は惑星に多大な悪影響を呼び起こす。
それにしても、世界っていうのはこんなに簡単に終わってしまうものなのかとつくづく思う。
「ねえ、これからどうしましょうか」
「え? ああ、そうだな。決めてなかった」
今日は映画見て帰る予定だったし、その後の予定も考えてなかった。
「とりあえず、今日は帰るか」
「そうね。することもないし、そうしましょうか」
生憎駅までは数キロ歩かなくてはならない。まだ湿っている道を歩くのは億劫だが、しょうがない、聞きたいこともあったし。
「そういえばお前、先週は何してたんだ」
「え゛っ」
体がビクンと跳ねた。目をきょろきょろさせてあたふたしている。明らかに怪しい
「あー、またその話? いやぁなんでもないわよ! よく考えたら先週家にいた気がする
わ!えーっと……そ、そう! 一日中家でゲーム!いやー忙しかったわあ!ホントホント」
口数が異常に多い。誤魔化している証拠だ。こいつはたまに妙なことをやっては他所様(基本俺)に迷惑をかけては勝手に傷ついて世界を危機にさらすのだ。下手なことをされる前に、こいつの企みを阻止せねば。
ここは被害を最小限に。迷惑は俺だけでいい。
「さっさと吐け、どうせお前の考えてることだ。つまらんくだらん事なんだろ?それでいつも皆に
迷惑をかけるんだ。さ、言え。とっとと吐いてしまえ」
「は、はあ!? く、くだらないことですって?私はあんたのために……あっ、な、なんでもないわよバ、バカバーカ!」
さすがの俺もカチンときたね。
「俺のため? なにいってんだ。お前が何か企むと必ず周りに被害が出るんだよ。……そうだ、この際だから言っておく。お前は常に、俺に迷惑をかけてることを自覚しろ!このワガママ女!」
「え」
あ。
涙目になるアイラ
「な、なによそれ……。なによ!! いっつもわたしのことそんな風に思ってたの!ひどい! じゃあもういいわよ! あんたと関わるなんてもう二度とごめんよ!」
顔を赤くして激昂するアイラ。さすがに今のは俺も言い過ぎた。謝らねば。
「さようなら」
アイラは駅とは反対方向に歩き出した。
「お、おい」
「さわんないで!」
引き留めようとした手を振り払ってアイラは駅とは反対方向へ走り出した。
走り際、アイラの来ている服のポケットから何かが落ちた。
「……やっちまった」
袋から零れ散らばったクッキーと、メッセージカードが落ちていた。
メッセージカードには、こう書かれていた。
修二、誕生日おめでとう! これからもよろしく! と。
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