第8話 人に変幻できたけど…

はい。今回はプチフレアを放った結果どうなったか?ですね。折角なのでプチフレアの説明からしましょう。


プチフレアとはフレアの小型版でフレアの下位互換の魔法ではなく独立した魔法なのである。フレアとは太陽フレアと同義であり、爆発を表わす。小さな爆発と捉えがちだがサイズが違うだけで爆発力が異なる訳では無いのが注意点だ。フレアと同等の威力で当たり判定が小さい物がプチフレアという事だ。その大きさは拳大程。


さて。ゲップ程度のブレスで距離にして3キロ程を焦土に変えられる力を持つ渡辺ドラゴンの放ったプチフレアだがとんでもないことを引き起こしてしまった。


それこそ地形を変えるとかそんな次元では無いかもしれない。


プチフレアを放ち、地面に到達。そのまま地面を溶かし……溶かし……溶かし……さぁ…どうなったでしょうか?


勘のいい方はお気付きかもしれませんが……



結果だけ申し上げますと……プチフレアは下部マントルまで到達し大爆発したと思われます。何故かって?


HAHAHA。火山も無いのに噴火させちゃったからですよ。大噴火でした。僕も見事に死にかけました。完全に油断してましたからね。突然……いきなり溶岩が吹き出てくるんですよ?危うく焼き鳥ならぬ焼きドラゴンになるとこでしたよ。HAHAHA。笑えませんね。ドラゴンボディとはいえさすがに溶岩は怖いです。僕は命からがら飛んで逃げました。


現在は……と言うと付近に街があったので避難をお願いするために急いで行ったのですが何故か巨大なバリスタで攻撃を受けております。ドラゴンボディのお陰で当たってもチクッ!ともせず全く痛くありませんが人々の親の仇の様に鬼気迫る形相でバリスタを撃たれると僕の人としての心が痛むんです。さっきからげっぷが出そうですが我慢してますし。辛いです。


無駄だと分かったからでしょうか?街の皆が半狂乱で街を捨てて僕の進行方向へ走っていきます。言い換えれば逃げていきます。


そして魔法使いらしきローブを着た人々だけ街に残り僕に色んな光を当ててくれます。まるでプロジェクションマッピングみたいに僕の体がピカピカ光ります。カッコイイですね。僕もお返しに何か魔法を……と思いましたがプチフレアしかないので断念しましょう。


ふぅ……人間の攻撃魔法がここまでショボイとは……僕のプチフレアがエグ過ぎるのか?まぁフレアドラゴンだから仕方ないよね!


でもここで僕……気づいちゃいました!初めての街です。そして人を見ました。ということは……遂に……遂に……人になれるのでは?


Let's try!!!【変幻自在】で人になるんです!イメージは先程まで見えていた魔法使いらしき人物が良いでしょう。


顔は僕のままでOKだから……よしっ!イメージ出来たぞ!


「いくぞ!人に変幻だ!」


……なったよ。確かに。だけどさ?一瞬過ぎない?直ぐにドラゴンボディに戻っちゃったじゃん……?


変幻だから?変身とか変化じゃないから一瞬だけの能力なの?それ使えないじゃんよ………ダメじゃん!神様のポンコツ!チャラ男!ヤリチン!自己中!仮性ホーケー!


【ゴラァァァァァァアアアア!それ以上文句言ったらデブ公爵令嬢にすんぞって言ったよなぁ?あぁ?良いのか?今すぐ変えるぞ?あぁ?】


え?デブ公爵じゃなくてデブ公爵令嬢とかもうゴミじゃん。と脳裏によぎったが僕は四の五の言わずに地面にジャンピング土下座を華麗に決めた。


「も、申し訳ありません神様!今後一切この様なことは言いませんし……思いませんのでお許しを……」


【ちっ……チョーシ良い奴だな。まぁ今回だけだからな?次言いやがったらこけしにしてやる。ヒントをやる。変幻自在ってスキルな?それまだ封印されてっから。お前が成人するまで制限付きだからな?じゃ。そゆことで。バイなら。】


早いよ。ヒントもっとくれよ。まぁ仕方ないか……


よっし。制限付きなら成人するまでこのままの姿で……って無理だろ。人間に敵対されてるし。勇者が討伐にくるんじゃ…あ。あれ?僕勇者殺しちゃったんだ。忘れてた。あははははははは。


ん?えって……成人っていつ?ドラゴンって長寿だよね?え?何歳?てか何年このままなの?おーーーーい!神様!!!教えてーーーー!


【うっせぇ!自分で考えろボケ!アホ!カス!】


あーあ。怒られちゃった。けど……成人まで耐えるか制限付きをどうにか克服するかの2択しかない。とりあえずこの街の皆逃げちゃったし拠点にするか!


僕はまだ知らなかった──


数日後フレアドラゴンがメメルの街を襲い占拠していると帝国中にお触れが出されることを。


そして勇者殺しの2つ名が帝国中に広がってしまう事を。

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