第2話 僕は何が出来るのでしょうか?
ミャ!ミャー!ミャミャミャー!
やはりこんな声しか出ません。残念です。人間といった線は諦めましょう。
まず殻を完全に出ることから始めましょうか。
エイッ!トゥ!ヤァ!
なんて掛け声を出したふりをしてみます。実際には声は想像です。ミャーとしか喋れない様ですから。察していただけると有難いです。
そんなこんなで殻を破りました。
バーン!と手と足を広げてみます。うん。動きますね。人間の赤ん坊と違って手足は産まれた時から自由に動かせるようです。
では次は1番気になっている翼です。これは飾りでは無いでしょう。先程【ママン】が飛び去った現場を目撃したのですから僕にだって飛べるはずです。きっと空も飛べるはずなんです。
ピロピロピロ………
我ながら情けないです。ほぼ動きません。布がヒラヒラしてる程度しか動かないのです。これでは飛べませんよね。きっと下へ向かって風を送りその反発で上昇するのでしょう。まぁドラゴンの飛行なんて分かりませんが。
ぐぅ~~~
……まずいですね。お腹が空きました。しかし僕が何を食べられるかなんて分かりません。本来ならば【ママン】が教えてくれるはずなのです。それを生まれた瞬間に育児放棄するなんて許せませんね。僕は激おこです。しかしいない【ママン】に文句を言っても仕方ありません。だから僕は1人で食事を探すことにしました。
まずは──爬虫類の餌……虫でしょうか?嫌ですね。これは。本当にキツイです。僕はゲテモノは苦手なんですよね。でも生きるためには仕方がないじゃないですか。
仕方がない……仕方がないんです!
そして僕は虫をひたすら探しました。その時知ったのですがどうやらここは岩山の頂きです。虫……いません。というか生き物いません。これはきっと【ママン】の愛情だったのでしょうが今更僕を苦しめてます。なんせ敵がいない代わりに餌もいないのですから。
僕は考えました。待つか。降りるか。この究極の2択です。僕はまだ飛べません。それは翼が乾いてないからかも知れませんし、魔力やらそんなものが使えないからかも知れません。それは分かりませんが飛べないのが現状です。現状を打破するには究極の2択を選択するより他ならないのです。だって既に捨て子ですから。自らの命は自らで守るしかないのです。これって前の人生より過酷じゃないですか?神様鬼ですか?僕が何したって言うんですか!
僕は決心しました。飛びます。飛ぶしかないんです。飛べなくて死んだら神様のせいなんです。あのチャラ男のせいなのです。次に見かけたら炎でも吐いてやるのです。まぁ炎が出るかは分かりませんが。
よし。飛ぼう。
僕は岩山の頂きから飛ぶのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます