新たな出会い、そして偶然は続く。
同じ顔は、世界に3人いると言われている。
又、顔だけにとどまらず、好みや行動、さらには声までも、似ている人がいるかもしれない。
だが、所詮は都市伝説や噂の類。
実際にそんなことはありえない——————
そう思っていた。……彼女に会うまでは。
入学式は呆気なかった。ほんとに何事もなく、むしろ無さすぎて記憶に残ることすらないほどに。正直誰が何を話していたのかなんて、全く聞いていなかったし、聞く気もなかった。
そんな入学式が終わった後、教室に入った俺は、横に座る女子を見て思わず目を疑った。
いや、自分自身を殴りたくなった。俺の醜く、浅ましい心が、幻覚を見せているのだと思わせた。
だって彼女はあまりにも彼女に似ているからだ。
彼女とは、言わずもがな俺の初恋の相手、小河原夕陽。だが、彼女は県外の高校に進むことになった。理由は親の仕事の都合らしい。
偶然にも隣同士になった俺だが、そんなことを考える度に、横に座っている彼女に話しかけることを躊躇ってしまった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
入学してからはや1ヶ月。
やはり俺は横の彼女のことが気になっていた。
偶然は重なるもので、お互いに図書委員になってしまった。だからといって、何か変わったことがあるのかと言われれば特にない。だが、そんなことを毎日いちいち考えてしまっている自分が、本当に嫌で嫌でしょうがなかった。
さらに1週間後。席替えがあった。
俺はどこか胸の奥がチクッと痛みながらも、
(これでちょっとはマシになる)
と思っていた…………だが、
また同じ席どうしになってしまった。
(なんなんだ! クソ!)
嫌なはずなのに、どうしても心の底から悔しがれない俺に、再びいらだちが湧き上がる。
消えない後悔は、いつまで俺を蝕み続けるのか。偶然の重なりが、一体どれほどまでに自分を惑わせてしまうのか。そもそも、彼女は別人だ。それなのに目で追ってしまう俺って………………
自分自身を受け入れられない自分が、そこにはいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます