第6話 悪徳領主の屋敷に潜入2
「リーダー!」
「ん?」
仕事を終えた俺たちの前に一人の男が現れる。
影の薄いその少年には見覚えがあった。
「リーダー、いい物みつけたぞ。財宝部屋だ」
「服部か」
彼の名は服部半兵衛。
身体能力は俺と同程度だが、この男にはとんでもない才能がある。
隠密の才能だ。
教官の課題で、総理大臣の家に侵入し、寝顔を写メで撮るものがあった。
それを歴代最速でクリアした男だ。
他にも教師の無茶ぶりに応えまくり、俺たちを驚かせた。
米国のトラン大統領の寝顔写真を取ってくる任務もあっさりとこなした実力者だ。
この男のスマホには中国やフランスの大臣、イギリス王室のVIPの寝顔が収められている。
俺としても敵に回したくない男の一人だ。
「何を見つけたんだ?」
「宝物庫と奴隷の契約書類さ。書類は全部焼き払っておいたよ」
「ナイス!」
「さすが服部!」
「いい仕事してるねぇ」
クラスメイトが服部を称賛する。
さすがは潜入のプロだ、仕事が早い。
「さすが服部。ところで宝物庫で持っていけそうな小物はあったか?」
「すでに使えそうなものをピックアップしておいた。今、宝物庫にいる甲賀と伊賀の二人がみんなの荷物を纏めてくれている」
「さすが! 仕事が早いな」
「実はまだあるんだ」
俺の賞賛に服部は照れた様子で笑うと、腰元からナイフを取り出す。
不思議な色合いのナイフだ。
一体どんな金属でできているのだろうか?
「このナイフ、すごいんだよ! 鉄だって簡単に切れるんだ。たくさんあるから全部持って帰ろうよ」
「そいつはいい! 武器がなくて心もとなかったもんな!」
「たしかに」
毒島の言葉に俺は頷く。
当然ながら、獅子堂学園ではナイフ格闘術も授業で習っている。
他にも銃の扱いや戦車、そしてヘリコプターや戦闘機の扱いも叩き込まれているので問題なく扱えるのだが……。
これって普通の高校でも習うのだろうか?
さも当然のように教えてくれたので気にしなかったのだが……。
まあいい。
今度、教官殿にあったら聞いてみよう!
俺は気を取り直すと、皆に向かって口を開く。
「よし、みんな撤収しようか!」
「宝物庫はこっちだ。ついて来て!」
俺の言葉を皮切りに、みんなが服部の後へとついていく。
俺は最後に悪徳領主へと語りかけた。
「領主さん、感染症なんだよね? この薬と注射器あげるよ。痛いけど命は助かるはずさ。ああ、お礼はいらない。じゃあな!」
そういうと俺は、青ざめて泡を吐く領主を一人残して、皆の後を追いかけた。
~次回予告~
毒カビを注がれた領主は当然のごとく意識不明の重態に!
「何だって!? 俺が毒殺未遂!? これは敵国の陰謀だ!」
色々と思うところはあるが、収穫を増やすために肥料を作ることにする秀也。
シュリの提案で、隣の領地に肥料をプレゼント作戦をすることに。
「な、なんだってー! こんなものが肥料になるのか!?」
「さすが秀也だぜ!」
次回、「秀也の肥料大作戦!」
乞うご期待下さい!
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