第28話呪いの人形
俺は別の部屋に来た
なんの変哲もない和室だが……
「ここは……」
お内裏様、西洋のビスクドール、市松人形
ここにも人形が置いてあった
「なんだろう?不思議な雰囲気が……」
俺は不思議な感覚になった
ぞわぞわするような暖かい感じのような……
「これも呪われた人形なのか?」
「そうでおじゃる」
「ん?」
「そうでおじゃる」
「んん?」
俺は後ろを見ようと振り向いたら……
「てぇぇぇ~い」
まぬけな声と共にはたかれる
なんだ?いったい
考える暇もなく俺はお内裏様にしゃくではたかれ続ける
「わっ!痛てっ!何すんだ!!」
「そうでおじゃる。そうでおじゃる」
止まることなくポカポカ叩かれる
「くそっ、聞けよ」
「おじゃる~」
「あ~もう!!」
俺は限界だった
「話を……聞け---!」
俺の右ストレートがうなる
お内裏様の顔にクリーンヒットだ!!
「お、おじゃ……」
お内裏様は止まった、いやうずくまった
「はぁはぁ」
荒い呼吸を抑え考える。
なんなんだ、いったい
「おやまぁ、内裏がやられましたわん」
「まぁいきなりじゃったからのう」
「!!誰だ!」
お内裏様を振り切ったとたんに声がする
「妾達のことかしらん?」
「みたいじゃのう」
見るとビスクドールと市松人形が動いた
「う、動いた!」
「何を言っているのじゃ。お前さんも動いとるじゃろ?」
市松人形に論破される
「妾が珍しいかしらん?貴女も動くかしらん」
ビスクドールが続く
「それは……そうだけどよ……」
俺は二人(?)に向き直る
「あんた達は誰だ?」
「誰って人形じゃよ?」
「見て解らないのかしらん?」
「そうじゃなくて……」
俺は圧される
「ははっ、そんなに困らんでもいいじゃろ?」
「内裏とこの子は市、妾はキャサリンだわん」
「おおう、答えてくれるのか」
「お前さんは?」
「ミズハ、いや高橋京介」
「?名前が二つあるのかい?」
「今はまだ、な」
そのうち高橋京介という名前はなくなるが
「俺は……ミズハになりに来たんだ」
「ほう……?訳ありか?」
「俺がミズハになれば親父もお袋も変な風に言われなくなるだろう?」
ただし、泣きじゃくるかもしれない。立ち直れないかもしれない
「それの対策をこの一週間の間にしなくちゃな……」
それが高橋京介としての最後のやるべきことだ。笑えない、笑うことでもない
「お前らは?」
「儂らはここで永遠に隠居じゃよ」
市松人形は目を細める
「……成仏できないのか?」
「……わからん。そもそもどうすれば成仏できるのじゃ?」
「妾もわか無いのかしらん。何故動いているのかも忘れましたわ」
「あのお内裏様もか?」
俺はうずくまったお内裏様を指差す
「あやつは近いうちにおたきあげじゃよ」
燃やされるのか
「ああ……、そうか……」
燃やすことで供養する。そんな考えもあるか
「とりあえずよろしく。一週間だけだけど」
「謙虚じゃの、一週間といわずずっといればよい」
「それはダメだ」
俺は帰る。里美のところへ。でなければ親だけじゃなく里美まで泣かしてしまう、最低だ
「ふむ、仕方ないかのう」
「後、はたいたこと謝ってくれるか?」
「それは妾達に言われても仕方ないかしらん」
なんだよそれ
「市、だったけ?」
「なんじゃ?」
「ここでは何をする?」
俺はこれからどうやって供養されるのか聞いておきたかった
「何って、仏の言葉を聞くんじゃよ」
つまりお経を聞く
「なんだか気を抜いたら成仏しそうだな。普通に」
「謎はとけたかのう?」
「ああ」
俺は歩き出した
「何処へ行くんじゃ?」
「部屋に戻る」
窓の外を見ると日が落ちていた
「じゃあな。お内裏様に謝っといてくれ」
「わかったかのう」
「また来ればいいかしらん」
またか。
何事もなく一週間が終わればいいけどな
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