第27話俺の気持ち

「今日からここが君の居場所だよ」


俺は神主に運ばれてこの部屋にやってきた

神棚?がある。個室っぽいが詳しくは解らない


「一週間君を供養する。悪いものが全て落ちたら家に返してあげよう」


俺は黙って聞いていた

もとは自分が招いたこととはいえ不安にはなる

俺は目くばせで周りを見た、落ち着かない


「……強情だね」


そう呟くと俺を床の上に置いた


「君は誰だい?」

「……」

「高橋さんの息子さんなのかい?それとも木城里美さんの人形かい?」


どっちなんだろう

どちらも当たっている、ひとつに絞れない

それかどちらか選べと言うことか……


「……」

「ゆっくり考えなさい。未来を変える選択だから」


神主は部屋から出ていき、俺は取り残される


「俺は……誰か、か……」


ため息が出た。当然かもしれない

よかれと思ってしたことがこの結果だ。笑えない


「でも、それでも家族とは会いたかったし……」


急に死んでしまったから気になる。特に家族が嫌だった訳でもなく仲も悪くなかったしな


「はぁ~……」


俺はその場に座り込んだ

俺は目を閉じて考えた




「……ふぁあ~」


どうやら寝てしまったらしい。周りを見ると朝だった景色がお昼過ぎになっていた


「昼の三時か……」


俺は部屋にあった時計を見た


「どうするか~いや、考えなきゃいけないか」


俺は改めて考える

今までいっしょだった家族か、新しい環境を受け入れるか

事故死した幽霊か、里美の人形か。


「……」


とりあえず言えることがある。あんなに取り乱し、狂気染みたことを言う家族は見てられなかった

端から見ても狂人。たぶん俺がいっしょだとますます拍車がかかるだろう


「それは……嫌だな」


頭がおかしい、なんて陰口叩かれながら生きる親なんか見たくない。親がよくてもだ。なら俺の選択は……

ふと視線を感じて思考を停止させる


「誰かいるのか?」


周りは恐ろしく静かだ。海の近くに建つこの神社は不思議な空間に包まれていた


「…」


俺は窓から外を見る、奉納された人形がびっちりと並べられ人形寺としての雰囲気をかもし出していた


「……こいつらも俺といっしょなのか?供養されるんだよな?」


庭を見渡す。当たりはお内裏様で埋め尽くされている。少し離れればお雛様もいる

これら全てをあの神主が?やるな


「……やっぱり誰か見てるな……」


俺はうすら寒気がした

この日は晴れで7月の半ばなのに、だ。


「くそっ!俺は呪われた人形になるだけじゃなく呪われた人形に囲まれるのかよ!」


俺は窓の側を離れる、どうするか


「とりあえず歩くか。暇だし……」


俺はとりあえず歩き出した

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