第26話新拠点
俺は里美に抱っこされていた
「こ、ここは……」
ひっそりと建つお寺、人形供養寺
その名に恥じない雰囲気が周りにおいてある人形からかもだしていた
関西にある有名なこの寺で俺は試される
ただの人形か、呪いの人形かを
もともとは役目を終えた人形や別れを告げた人形がくるところである
「俺はここで……」
どうなるのか、どうすればいいのか
「なんだか凄いわね、里美」
里美の母親が言う
「うん……凄い……」
さすがの人形好きでも圧倒されるらしい
「凄い数…全…部供養人形なんだ」
ぬいぐるみからお雛様、市松人形なんなら置物まである
「里美ちゃん、いいわね」
「……うん」
「本当ならすぐに手渡してもよかったんだからね」
「……うん」
「……大丈夫よ。ただの人形よ。そうでしょう?」
「……そうだね」
「高橋さんちょっと疲れてるのよ、いろいろと。だから何かにすがりたくなったのよ」
「……私の人形に?」
「たぶんネットで見たんでしょうね?里美ちゃんもブログ書いたのでしょ?それがいろいろ噛み合ってこんなことになったのよ、きっと」
里美の母親は諭していた
「だから数ヶ月の間我慢しましょう。……その頃には高橋さんも落ち着いているでしょ」
「だといいね」
里美は俺を見る
「本当に高橋さんの息子さんなの?」
問いかけてくる、俺はどうすればいいのか
「さっ、話をするわよ」
里美達は拝殿の中へ入った
「話は聞いています」
神主さんはゆっくりと話をした
「大変だったでしょうに」
「……まあ」
「その人形に霊が入っているなら供養、そうでない場合はお清め、そういった形にします」
「あの……判断基準は……」
「一週間様子を見ます。霊が憑いてるなら何らかのアクションがあると思われます」
「はい」
「無い場合はお清めの儀式をします。お嬢さんの厄がついているかも知れませんからね」
「厄……」
「なんならお参りもしていきますか?ここは女性のパワースポットとしても有名ですので」
「あら、いいわね」
里美の母親は呑気に言う
「大丈夫ですよ。大切にしていたのなら何らかの形で魂は宿ります。怖がらないでください。現に何も悪さはしてはなかったのでしょう?」
「はい、何もなかったです」
俺は何回か話しかけたけどな
「なら、大丈夫。相手の方が疲れていたのでしょう」
「そうでしょうか……?」
「信じられませんか?」
「……わかりません」
「憑いてるもの全てが悪ではありません。何らかの未練がこじれただけの人形もいますよ。大丈夫です」
「はい……」
「なんでもかんでも気軽に手放せないのは当たり前のことです。それがヒトカタならなおさらです。ゆっくりタイミングを見ましょう」
「あの……神主さんはこの子に霊が憑いてると思いますか?」
「いえ、思いません」
はっきり言うな
「霊ではなく魂ですから。憑いていても相手の方の息子さんではありませんよ」
俺は黙って聞いていた
じゃあ俺は-
「ありがとうございます。ミズハをお願いいたします」
「ミズハと言うのかい。かわいい名前だね」
俺は微笑みかけられた
「じゃあ行きましょうか、里美ちゃん」
「わかったよ、お母さん」
「ではお願いします」
里美達は帰って行った
「さて、と……」
神主は俺の方を見た
「君は、誰だ?」
強い口調で言う
「俺は……ー」
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