二章 ドール生活

第25話急展開

結果から言うと俺は家族に会えた

ただし最悪の形で


「ですから何かの間違いでわ……」

「さすがにそれは無いと思います」


里美と里美の母親が必死に話している、リビングで警察と一緒に俺の家族にだ

俺は警察達が来て里美が何か話を聞いてから二階から一階へと下ろされた

今はリビングの机の上にいる、そして話を聞いている

俺は里美の部屋にあった封筒と便箋で手紙を出した。自分の住所は覚えていたから簡単だった

けど問題はここからだ


「だから!!息子の霊がお宅の人形についているんですよ!」


俺の父親は顔を真っ赤にさせて叫んでいた


「ほら!手紙!!嘘じゃないでしょ!?息子が人形に取り憑いて助けを求めているんですよ!」

「あのう……落ち着いてください……」

「落ち着いていますよ!だから手紙が来て……!!」


警察の話によると俺の家族は崩壊寸前だったらしい。息子の俺が突然死んで家は荒れた。

母親は夜通し泣き、父親は無気力になった、と

。しかも俺を跳ねた犯人は解らないときたもんで怒りをぶつける所もない。俺の家はたった一日で壊れてしまった


「そんな時に手紙が!!来たんですよ!?死んだ息子から!手紙ですよ!?生きてるんですよ!?!?」


親父は支離滅裂なことをいっている。誰が見てもおかしいのは俺の親父だった


「……手紙見せてもらってもいいですか?」


里美はなるべく落ち着かせるように言う


「かまわんよ」


親父は手紙を里美に渡す


「……読みにくい」


もともと字が汚い上に人形になったからな、書きにくかった


「……確かに私の人形のミズハに憑いていると書いてますね」

「お前の人形じゃない!私の息子よ!!」


お袋は涙で腫れた目で訴えてくる


「その子は私達の息子なの!息子を返して!!」

「でもねぇ奥さん方~」


警察官が割り込んだ


「息子が誘拐された!って言うから来たけどお人形だしね……しかも男の子じゃないし……」

「そんなのどうでもいいじゃない!」


ものすごい剣幕でいい放つ


「その子は私達の息子!手紙にも書いてる!それだけよ!!」

「う~ん。この人形はどこで手に入れましたか?」

「この子はパークスっていう会社が出してる……」


里美は説明を始める


「……里美、あげたらいいんじゃない?なんか怖いわ。あの人達にこの人形を」


「でも……この娘……ミズハは……」

「奥さん、手紙が本物という可能性は0かもしれません」


警察官がヒソヒソ話に割り入る


「あのお二人は息子さんの事故で心身共に病んでいる、真に受けないでください」

「……あの夫婦が手紙を偽装して持ってきたってことですか?」

「その可能性もあります。高価な物なのでしょう?」


里美は小さく頷く


「なら狂人のフリをしてその人形を盗るつもりなのかも知れません」


里美はぞっとした


「……以前ブログにこの人形のことを書き込みました……炎上したので知っている人はいるかも知れません……」


里美の顔は青かった


「なるほど、その記事を見ての犯行か。ありえる」

「いい加減に息子を返せ!」


親父がどなる


「そうよ!返して!」


お袋もどなる


「ごめん、親父、お袋」


俺は後悔した

こんなことになるなら手紙を出さなかった

何が嬉しくてこんな両親の姿を見なくてはいけないのか


「その人形に入っている息子と一緒に暮らす。返して貰うぞ」

「ダメ!!この子は私の!」


里美が俺の前に出る


「何すんの!息子が中にいるのよ!?」

「なるほど、ならこうしましょう」


膠着状態を壊す警察官


「この人形を供養に出しましょう」

「えっ」

「もしそこで動くなり未練があるようなら高橋さん夫婦の息子さんだとしましょう。ただし動かないならこちらの木城里美さんの人形であるとしましょう」

「な、何を……」

「いいですか?このまま話あっても解決しませんし何故人形に霊が入ってるかどうかわからないからです。」

「でも手紙が……」

「すみませんが私は手紙を信じていません。だからまずこの人形を寺に預けます」


リビングが静かになる


「そこで判断をします。本当に人形が手紙を書いたなら霊能者に頼らなくてもコミュニケーションはとれるでしょう」

「動いたら息子さん、動かないならただの人形」


警察官は笑う


「解りやすいでしょ?これなら納得しやすいでしょう、お二人共に」


里美の母親がほっとするように言う


「それなら私も助かるわ。タダでも動く人形なんて怖いから要らないもの」

「そんなの……」

「納得できませんか?ならここで永遠に言い争いますか?」


警察官に諭され里美は折れた


「では、お寺に預けましょう」


ドールに転生生活、今度は供養という目的で寺で生活することになった。自業自得だが


「ごめん……親父……お袋……里美……」


俺も泣きながら賛同した



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