第22話お出かけ?デート?

「木城さん、待った?」


同僚の川本結が小走りでかけてきた

腕に付けたブレスレットが日の光にあたって光る


「川本さん!いえ、今来たところです」


里美はにこやかに答える

イエローのシャツとデニムという着飾らない服を選んだが失敗だったかも、と後悔する


「川本さんかわいい」


なんというかお嬢様コーデというかいいとこのお嬢さんを思い浮かべるワンピース

さりげなく付いているフリルも品がいい

仕事場のイメージとは違う


「やだ、恥ずかしい……」

「そんな似合ってますって」

「木城さんはボーイッシュね」

「ははっ、私動きやすさメインなんで」


私も着飾ればよかったかな?里美は考える


「ふふっ、なんか私達恋人みたい」

「えっ」

「なんでもない、行こう」

「あ、うん……」


なんかさらっとすごいこと言われた?

深く突っ込めなかったけど……

里美達は早速抹茶が美味しい店に行くことにした



「どう?ここの店?」


目の前には緑色の丸い球体があった

これは飴で出来ており割って食べる

すると中から抹茶ソースが出てくるのだ

しかも白玉と栗入り、うまい


「美味しい……凄く美味しいです!」


味もそうだが食べるときの演出もいい

割って食べるも斬新で好奇心がそそられる


「他にも宇治茶の飲み比べとかできる店もあるのよ?」

「えっ、行きたいです!」

「本当!?行きましょうか!」


二人してきゃっきやっ言う

(……凄く楽しい)

里美は思った、最近はドールの撮影ばかりで同年代の女友達とも遊んでいなかった

(ドールの撮影も楽しいけどこういうのも楽しいな♪)

できればこれが会社の同僚ではなくて仲のいいドールオーナーならもっとよかったんだろうけど、そこまでは贅沢は言えない


「……」

「……川本さん?」


川本さんがこちらを見ていた


「どうかしました?」

「あのさ、木城さん……」


何!?急に


「その……敬語止めてくれない?」

「えっ」

「なんか……その……距離感じちゃうから」

「あっ」


そもそも今回の目的は仲良くなることだった

敬語使ってたらダメだよね


「わかりました、いやわかったよ」

「そうそう!」


川本さんは顔色をあきらかさまに変えるぐらい喜ぶ


「ついでに名前も川本さんじゃなくて結ね」

「えっ!?ゆ、結……」

「う~ん!いい!!」


川本結は悶える


「私も里美って呼ぶね!」


急に言われるからむず痒い、いやじゃないけど


「これからどこ行く?里美」

「うーん、私は嵐山しか来たこと無いからな~」

「えっ、そうなの?」

「そうなの、嵯峨嵐山駅の近くの……」


言いかけて慌てて止める

あそこはドール関係の施設だった


「?あの辺なにかあるの?」

「……嵐電があるよ」


苦しい、とても苦しい


「嵐電か~乗ってないな~」

「そ、そうなんだ」

「そうだ!トロッコ嵐山に行く?今の時期風が気持ちいかも!!」

「えっ?夏だもんね」

「でも行くならやっぱり秋かなぁ?紅葉見たいし」

「そ、そうだね……」


なんとかかわせた、よかった


「ねぇ、里美のこともっと教えてよ。何が好きとか、何にハマっているとか」

「えっ」

「言ったでしょ?仲良くなりたいの」


懇願されてちょっとたじろぐ


「おいおいね」

「絶対よ!」


結は大きく返事した


「じゃ、次行こうか。お茶の飲み比べ」

「うん、行こう」

「ふふっ、デートみたい」

「なにか言いました?」

「なんでもないの」


二人は店を出て京都の街を歩いた

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