第21話会社
「木城さんこの書類お願いします~」
「はい、わかりました」
里美ははっきりとした声で答える
木城里美24歳ごくごくありふれた会社で事務仕事をする
「木城さんいっしょにランチに行きましょ?」
「いいですね、行きましょう!」
里美は会社の同僚、川本結と一緒に会社を出た
「何食べます?」
「今お財布ピンチだから安めなところかな?」
「なんか木城さんいつも金欠だよね?何に使ってるの?」
そこでドールです、とは言えない
「あははは……、生活費……」
語尾が小さくなってしまった
「あ、あれ可愛い~」
川本さんは特に気に止めず話題を変える
「あのショーウィンドウの服かわいくない!?」
「あっ、ほんとだ」
綺麗な色のトップスにフィッシュテールのスカートを着たマネキンが里美達を見ていた
「可愛い~!色もいいしデザインも可愛いし……いいなぁ、欲しいけど高いね」
「二万弱のトップスに三万のスカートかぁ……」
さすがに高いが、でもこれがドール服なら安いと思って買っちゃうのがドールオーナーだ
(ミズハに似合うな……今度リアルクローズの服を着せてみようかな?)
里美は妄想にふける
(そしたら可愛いネイルもしたいな、確かネイルチップを作って売っているディーラーさんいたよね?それかメイクハンドに変更するかな?)
「木城さん、どうしたの?お店ついたよ?」
そう声をかけられてはっとする
「だ、大丈夫です……」
里美達はカフェに入った。最近できたらしく綺麗な所だ。しかもメニューが安い
おかげさまで長蛇の列ができていた
「ここでよかった?」
「はい!喜んで」
「ふふっ、木城さんいい人だよね?」
「えっ?」
話が里美自身の話になってドキリとする
「今度一緒に遊ばない?私達歳近いし話合うと思うんだよね」
「今度、ですか」
「そう、なにか予定でもある?」
里美は記憶を辿る
「無いです」
「OK、なら一緒に遊びましょう」
「えっでもいいんですか?」
里美は聞く
「つまんないかも知れませんよ?」
「いいじゃない、私木城さんと仲良くなりたいの。歳近いし同期だし気が合うと思うの」
そう言われてしまったら断れない
「わかりました……いつどこで会います?」
「来週の日曜日、京都に行きましょ?」
「京都?」
「美味しい抹茶がある店知ってるの」
「いいですね、行きましょう。なら待ち合わせはJRの駅になりますか?」
「そうね、阪急と迷うけどとりあえずJR京都駅にしましょうか」
「わかりました、何時にします?」
「うーん、私朝は用があるから昼の一時で、それなら三時のカフェに間に合うでしょ?」
「そうですね」
「じゃあ決定。あー楽しみ!!」
川本さんは笑顔になった
(京都かぁ、まあ近いからいいか)
そうこうしているうちに店の中へと呼ばれた
「じゃあ食べながらなにするか決めようか」
「はい!」
会社の同期とはじめてのお出かけ、というとなんだか変な感じだかこれはこれで嬉しい
里美の楽しいランチが始まった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます