第18話一般人の感覚
里美は楽しい撮影会から帰る途中だった
ミズハを鞄に詰め帰路へとついていた
「あっ」
里美はスマホのバイブ着信に気付き画面を開く
「マッチャズッキーニさんから?」
マッチャズッキーニさんとはメルメルと同じSNSのドール仲間だ
ただしマッチャズッキーニはメルメルと違ったタイプの人形を持っている
簡単に言うとフィギュアを大きくし可動式にしたようなものだ
「えっ、撮影会?来週?立て続けじゃない!」
大変だかこれはこれで楽しい
「OKの返信をして……と」
スマホを華麗に打つ
「来週の予定確定~🖤あー楽しみ♪」
里美はスキップしたくなった
「あっ……明日香」
「あれ~里美じゃん!」
家の近くの駅に着いたらばったりと会った
明日香もこの駅の近くにすんでいるから仕方がない
「里美大荷物で、何してんの~?」
「えっ、ああ、えっと……」
ドールにカメラをはじめとした撮影器具、確かに凄い荷物だ
「あははは……」
笑ってごまかす、でも明日香はそれ以上突っ込んで来なかった
「里美!!飲もうよ~」
「えっ?また?どうしたの?」
「聞いてよ~彼氏の愚痴」
ああ、このパターン
「何か不満でもあるの?」
「聞いてくれる!?」
ああもう、やってしまった
聞かずにはいられない、私のバカ
「わかったよ……」
「彼氏、顔の割にはオタク臭いのよね~そこが嫌なの」
またか
「……何かあった?」
「特撮のポスター持ってきたのよ!」
は?何それ?別に良くない??
「信じられない!子供よ!本当にあり得ない!!」
「あっ、そう」
「しかも変身ベルト?あれ欲しいとか言うのよ!?あり得ないでしよ!?」
いいけど、別に
「ガンダムの模型集めてるのも引くけど特撮も引くわ~」
「……じゃあ何だったらいいの?」
声に出してしまった
「え~、お酒タバコは無理でしょ?ギャンブルはもってのほか!アニメや漫画はオタクだし特撮は子供っぽいし、車やバイクはお金かかるし……」
「ほとんどダメじゃん」
「ん~釣りはおいてけぼりになるし~キャンプとか?」
「……」
「そういえば聞いてよ!職場の上司人形集めてるんだって!」
「えっ!」
人形と言うワードに過敏に反応してしまった
「……フィギュアとか?」
「ううん、人形。球体関節とかの」
本当に!?仲良くなってお話ししたいかも!という気持ちを抑えて話を聞く
「あははは……いろんな人いるのね」
「ほんと、キモい!男よ?しかも」
「……あははは」
「マジで無理、顔は良かったのに~」
私の趣味打ち明けたら嫌われるな、これ
里美は寂しくなった、しかしこれがだいたいの一般論。仕方ないといえば仕方ない
「そうか、そうなんだ……」
「そうそう、他にね……!」
里美は明日香の話を聞きながらお酒を飲む
しかし心ここにあらず、そんな状況だった
(一般人はドール気持ち悪いんだ……)
実際ガラスでできたグラスアイが怖いという人もいる。里美は悲しくなった。でも泣かずにその場をしのぐ
「でねでね!……」
明日香は明るく話続ける。しかし里美の表情は暗かった
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