第14話新人、いや新ドール

里美はチャットをしていた


「メルメルさんの意見参考にします、と」


パソコンの前でぐっーと伸びをする里美


「さて、次の休みの予定は決まり」


ふと俺と目が合う


「このあとは……ドルドルっ!」


ドルドルってなんだ?

疑問に思う暇もなく里美が飛び付いてくる


「はぁ~かわいい~」


ニコニコしながら頬を擦りよせてくる


「ミズハ~新人がいるのよ~」


嫌な予感がするぞ……

鞄の中から人形を取り出す


「さっき衝動買いしちゃった🖤」

「……」


しちゃった🖤じゃないだろ

下世話ながらお金の心配したぞ


「クロミちゃんもといクローカでーす!」


あ、はい


「仲良くしてあげるんでちゅよ~」


なぜ赤ちゃん言葉?里美はわからない


「……よろしく」


声をかけてみた


「……」


返事はない。ただのドールのようだ


「さすがに話せないか……」


ちょっとへこんだ

俺は今、会話にうえてるらしい


「あ、それとね……ミズハ」

「ん?なんだよ?」

「今度の休みメルメルさんと合同撮影会するから」


また撮影会かよ、何回すれば気がすむんだ?


「メルメルさんってのはSNS上の友達ね」

「知っている。前に合った」

「ミズハもメルメルさんの作ったゴスロリ服着ようね」


……なんかすごいこと言われた気がする


「里美はぽよんってハンドルネームだったよな?」

「ミズハ可愛く撮ってあげるね!」


話が噛み合わなくなった

もともと俺の声は聞こえてないから仕方ない


「週末怖いな……」

「業務連絡はこれくらいにして……」


業務なのか?


「クローカとミズハのツーショット!」


あ、やっぱり?


「スマホとカメラ両方で撮るからね~」

「また数時間拘束かよ……」


俺はため息をついた


「単体の写真も撮ろう!まずはクローカから」

「下手したら半日コースじゃないか!」


俺は早くも疲れた

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