第13話とあるお迎え

里美は帰り道でとある親子を見つけた


「ん?あの親子……」


とあるお店の前だった。そこの前で女の子が母親にごねている、よくある風景だ


(なんだろう……)


下世話にも話の内容を聞いてしまった


「だから、ダメって」

「ママ~、買ってよ~」

「ダメってば!!」


よくある会話だった


(何を買って欲しいんだろ?)


里美は親子の前にあるショーウィンドウを見た


「えっ!」


思わず声に出してしまった

里美が見たのは幼児体型のようにデフォルメされた人形で、しかも女の子が好きそうなキャラとのコラボ作品だった

黒色の服がキャラのイメージによくあっていた


「買ってよ~」


女の子の鞄にはでかでかと人形のコラボ元になった作品のキャラがついていた


(この子……この作品のこのキャラ好きなんだ……)


なんとなく気になって里美がオロオロしてしまった


「買って~」

「駄目よ、いくらすると思ってるの?」


そうだ、高い。この人形コラボだけに3万近くする


「買って~」

「だ・か・らダ~メ」


親も必死だ。さすがにポンポンお金を出す親もそうそういない


「お姉ちゃんからも言ってよ~」

「えっ?!」


突然振られた


「えっ、とこれは……」

「こら!誰に聞いてるの!」


すかさず親が怒る、当然か


「ごめんなさい、この子ったら……」

「い、いえ!」


里美はなぜか焦った


「お姉ちゃんだってこの子かわいいと思うよね?欲しいよね?」


うん、かわいいし欲しい

そう言えたら楽だけど……


「こら!お姉さんを巻き込まない!」

「だって~」

「だってじゃない!!」

「うっうっ」


女の子は泣きそうだ、親はいつものことと言わんばかりに手を引く


「ほら!行くよ!!」

「……はい」


女の子はしぶしぶ従った


(頑張ったよ!あの子可愛いね!)


里美はそう思いながら見送った

女の子が去り際に


「お姉ちゃんは買うよね?あの子?」


本心をつかれたような気がした


里美は新しいお人形を手に持って家の帰路についた

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