第15話ゴスロリと俺

俺はサラリーマンだった

会社の帰り道に事故に遭い、死んだ

そして転生してドールになってしまった

それまでの俺は冴えなかった

低給料、ぼろアパート暮らし、彼女無し

でもこんな話をしたことがある

ロリータを彼女にできるかどうか

周りは恥ずかしいから無理、と言った

俺は可愛くて性格が良ければ、と言って欲張りだと怒られた

そして皆で笑って終わった

そして今、俺は……

ゴスロリを着ている


「かっわいい~」


なぜだ


「本当、ミズハなんでも 似合う~」


なぜなのか


「黒色以外も着せます?」


なぜなのだろうか


「いいかも!白?ピンク?」


なぜゴスロリを着ている


「赤で~す!」


里美ことぽよん(ハンドルネーム)とメルメルが話している

ここはスタジオと呼ばれるドール撮影ができる建物だ。里美達はここを借りて撮影をしている

ここには里美が連れてきた俺とマリン、メルメルが連れてきた三姉妹がいた、もとい置いていた


「マリーと色違いなの」


俺と同じ背の高さのドールを指さす

マリーはピンク色のゴスロリを着ている


「ほんとですね~双子みたい!」


いや似てないだろ、いや服がか


「マリーと並べる?ぽよんちゃん?」

「いいですね、着替えさせます」


俺は黒色のゴスロリを脱ぎ赤色のゴスロリを着る。ヘッドドレス?っていうのか?頭の飾りがずれてきて凄く鬱陶しい


「……よしできた!」

「じゃあ撮りましょ!」


俺はマリー?の隣に立たされた


「ああ!神!」


謎の台詞と共にカメラのシャッターが切られる


「……なんかな」


俺はポツリと呟く、そしたら……


「何?気にいらないの?」


ちょっと怒っている、マリー


「えっ」

「私の服勝手に着て文句なんて……嘆かわしい」


俺は周りを見た、そして隣のマリーを見る


「まさかお前……話せるのか?」

「だったら何?話しかけるなって?」


ずいぶんとトゲトゲしい


「マリー……?」

「気安く話しかけないで」


なんか嫌われた?なぜ?


「はぁ~……」

「ため息つくな、私の幸せが逃げる」


怖いな、マリー。敵対心むき出しじゃん


「マリーちゃん、ミズハ~」


里美がなぜか話しかけながら写真を撮る


「ふん!」

「お、おう」


こんなギスギスした撮影会嫌だ、泣けてくる

しかも拘束時間長いし

俺のドール人生苦難ばっかり


「マリー、ミズハちゃん~」


メルメルが同じように話しかけて写真を撮る


「はい、マスター🖤」

「……」


なんだその変わりようは


「はっ!」


じっーと見つめていたら気づいたらしく目を反らす


「……まあいいか」

「……ふん!」


俺は疲れはてながら撮影をされていた

もちろん撮影会はまだまだ続く

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