第5話お披露目

「せーの、ぽよんさんおめでとう~」


そんな声から始まった今日

今日はぽよんことドールオーナー里美を祝う会?らしい

ここは最初にサトミとあった場所だ

俺はいつものドレスで豪華なフリル付きだった。金色のウィッグになぜか綺麗な石が付いたティアラが乗っかっている

体の前で手を組まされいかにもなお願いポーズをしている


「しかし可愛いですな~ミズハちゃん?だっけ」

「そうです、マッチャズッキーニさん」

「可愛いな~、一点物は気合いが入ってるな、やっぱり」

「ほんとですね!当たって羨ましいな~」

「もう!メルメルさんも持ってるじゃん!」


一点物って、やっぱりそんなにレアなの?

俺は三人のやり取りを眺めている

楽しそうなのはわかる、でも俺はどうすればいい

後ろに店員らしき人が微笑みながら見ている

店内は三人と店員しかいない、いつもこんな感じ?なのか?


「このティアラドレスとよく合うね、ぽよんちゃん」


メルメルことロリータ女子が里美に話しかける


「そーなの!頑張って探したの!!」


里美が褒め称えるティアラは俺の頭の上でキラキラ輝いている。ゴールドに青い宝石?らしきものがはめられている


「ホントはドレスも新調したかったけど間に合わなくて、、、」

「なら後日お披露目キボンヌですな」

「はい!待ってください、マッチャズッキーニさん」


……すごいハンドルネームだな、まぁいいけど

マッチャズッキーニは体がデカイ兄さんだった

ドールオーナーって幅広いんだな


「では撮影会を始めますか、まだ人は少ないですが」

「そうですね、今のうちにパパッと撮っちゃいましょう!」


里美とマッチャズッキーニが鞄からカメラを出す

……ゴツい。一眼レフか?


「小型ライトも出してっと……」


里美がテキパキ準備する

その横でメルメルがスマホで写真を撮る


「ミズハ可愛い~!!うちのマリーちゃんと並べた~い!!」

「持って来てないんですか?」

「うん、今衣替え中だし……はぁやっちゃった」

「メルメルさんのマリーちゃんと撮りたかったな~」

「ごめ~ん!次は絶対持ってくるから!」


軽く言い合いながら目は真剣だ

シャッターが切られるたびにウィッグやドレスの裾の微調整が行われる


「このアホ毛邪魔……」

「ああっ!レースが切れる」

「ティアラちょっと傾いてる?」


細かい、これが普通なのか?

俺はひたすらシャッターを切られるのを待つ


「ここは画像処理でなんとかなるか……」


画像処理?こだわるな里美

ってか熱入れすぎじゃね?

それから小一時間ほどシャッターを切られ続けた


「次はドレス変えたいな~」


里美が言い出す

ドレスを変えるなら俺は裸になるのか


「何かあります?ぽよんちゃん」

「うーん、いっそここで買うか……」


買うのか、買ってすぐに着替えさせて撮るのか

てかそんな事できるのかここは、どういう店なんだ


「ドレスじゃなくてウィッグでもよくないですかな?」


マッチャズッキーニ口を挟む


「ウィッグ!!それいい!」


里美は店の端、ウィッグコーナーに行き、しばらくいききし、レジに向かいそして戻って来た


「お待たせ……!このシルバーのウィッグどう?」

手には銀髪のウィッグを持っていた


「今の金髪のボブだから逆に銀髪のロングストレートにしてみたの!」

「いいかも!」


メルメルが叫ぶ


「じゃさっそく……」


里美は俺に向かって手を伸ばしティアラとウィッグを外す

あっという間に丸坊主、人形は簡単だ

そしてシルバーのウィッグを被せられて……


「櫛で梳かして……完成!」


俺は金髪のお嬢さんから銀髪のお嬢さんになった


『かわいい~』


その場の全員が言う

そうなのか?可愛いのか?


「ではさっそく……」


またシャッターを切る音が響く

メルメルのスマホに付いている小型ライトが眩しい

そこからまた小一時間、撮影会は続いた

勘弁してくれよ……

俺は疲れてきた

ポーズを変え、ウィッグを変え、隣のセットに移動しとにかく大変だ

……でも楽しそうだな

里美も他の二人も楽しそうに写真を撮る

これがドールオーナーなのか?

俺にはよくわからなかったが楽しそうなので良しとした

……でも大変だが



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