第4話 不思議な夜
その晩、俺は棚の中で悩んでいた
「俺はどーなるんだ……」
スタンドで体を固定されているため座れない
立ったまま考える
「でも何で人形になったんだよ、スライムとか自販機の方がマシじゃないのか!?」
異世界ではなさそうだかここがどこかわからない
日本なのか?はたまた海外か?
「はぁ、サトミってやつが鍵を握っているのか?」
俺はどんどん落ち込む、普通にサラリーマンやってただけなのに
「元気ないやん、大丈夫か?」
「いや、大丈夫なわけないだろ」
返事して気づく、誰だ?
慌てて周りを見る俺横でマリンが笑ってた
「……は?」
「いや、どうしたん?」
マリンはいかにもな顔で話しかけてくる
「いや、いやいや、いやいやいやいや!」
パニックだ、軽く
しゃべった?!人形が?!
「いや、しゃべった!喋ってる!」
アワアワしてる俺をしり目にマリンは話続ける
「どないしたん?立ってるのに飽きたんか?それか悩みでもあるんか?話聞くで」
「うわっー!!」
俺は暴れた。勢い余って倒れた、スタンドごと
棚のガラスに頭を打ち付けバタバタともがく
「うわっー!うわっー!!」
俺はなりふり構わず暴れまくる
何?何が起きてる?怖い怖い
「ちょっと!落ち着きーって」
マリンもビックリ、おろおろし始める、そんな時
「何事ー!!」
ドールオーナー里美だ
「えっ!嘘、ドール倒れてる!!やだー!」
慌てて里美は俺を起こした
「傷ないよね、傷ないよね?メイク取れてないよね?」
おろおろしながら顔を確認する
何も無かったとわかるやいなやほっとした表情で
「……ビックリした、急に物音するから……
何もなくてよかった~」
若干泣き顔で言ってくる、本当に心配したみたいだ
「棚が嫌なのかなぁ?それとも何かに当たった?
とりあえず外に置いとこ」
俺は棚の外のドールソファーに座らされた
「うーん、やっぱりソファーに座ると様になるな」
ニコニコしながら里美は言った
「ふぁ~とりあえず何もないから寝よう」
そう言って里美は部屋を後にした
「……。」
「……。」
「……あの~」
「……なんや」
「喋ってます?」
「あんたも喋ってるやん」
「ですよね~!!」
沈黙、いや、黙ざるをえないというか
「あの~、マリン?さん??」
「……、マリンでエエで、なんか恋人らしいやん」
「それはサトミが言ってるだけで~、いやまぁ呼ぶけど」
それを聞いたマリンはクスリと笑う
「なんかオモロイな自分」
「えっ?あ、はい」
「で?何で喋っているかってか?」
「そう!人形だろ!?何で喋っているだよ!」
「アンタも人形やけど喋っているやん」
「えっ?ああ、そうか……。」
なんだかわからないが落ち着いた
喋れるから喋っている、それだけ
「あの~、マリンはどこから来たんだ?」
なんか世間話になってしまった
「海の向こうやで、ワイ海外製品やし」
海外にもドールはあるのか、いやあるか
「はぁ、海外品……ちなみに俺は?」
「ちょっ、俺ってエライ男勝りやな、しかも自分の出身わからんのかい」
「えっ、ああ」
そうか見た目は女の子なのか、そういえば豪華なフリルのついた服を着ている
「アンタ日本製品やろ?雰囲気からしてそんな感じやわ」
「はぁ国内、日本……」
どうやら俺はサラリーマンから人形になった
しかし異世界やら国はまたいでいないらしい
「そうかここは日本か……うん、よかった」
知らない世界だったらどうしようかと思った
ただでさえ人形なのに
「まだ聞きたいことあるか?」
「えっーと」
「ドールって何するんだ?」
「は?」
「えっ、いやドールの仕事?って何かなって」
「仕事ってアンタ……う~ん?」
人形になったからには何かしないと、こういうの社畜っていうんだろうな
「まぁ、着飾られて写真とられて、、、あとは癒し?を提供するだけかな?」
「なんだよそれは」
「ワイはそんな事考えたことないわ
可愛がってくれたらそれでエエし」
「あ、うん……」
人形は愛でる物、かぁ
「ありがとうマリン、ちょっと楽になった」
「エエよ、えーっと名前なんやった?」
「えっーと、ミズハ?だったか?」
サトミがそんな名前をつけた気がする
「わかった、ミズハ。お休み」
「ああ、お休み」
ドールって寝るのか?そう思いながら返事した
でもこれって……
「ここへ来てニート生活確定?ラッキー♪」
そう言うことだよな、働く必要ないし
「へへっ、明日から楽しみだな♪」
人形になってから3日目の夜、やっと現状を楽しめそうな予感がした
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます