第2話 山賊①
さっさとレベルを爆上げし、職業を選択した僕がこのあとどうするか悩みつつ、森の中を歩いていると、どこからともなく金属が打ち付けられているような音と、人が何かを叫ぶ声が聞こえてきた。
「あ〜こりゃ山賊に襲われてる商人かなんかだろうな。助けるべきか?でも.....助けてまた裏切られるのはな...」
前世で商人を助けた際に、妻が殺されて悲しんだ商人に、『何故もっと早く来なかったんだ!!』
と怒りをぶつけられ、その理不尽に耐えることができず、その場を去った。その数日後に、街で衛兵に捕まり、『山賊を使い、商人を殺そうとしたため死刑』と、弁明の余地もなく殺された記憶が、僕の足を引き止める枷となっている。
「でもやっぱり見殺しには出来ないよな...........
行くか!!」
実は僕は、とてもお人好しで、そのせいで騙されたことは数知れず...それでも人助けをしてしまうのは、まだ知らない何処かに本当に信じられる人が居るのではないか、と言う期待を捨てきれずにいるからである。
「....ちょっと待てよ。このまま出て行って恨まれて追いかけられるのはめんどくさいから何とかして顔だけでも隠したいな...クラフトマスターあるからいけるかな?出来ればハイスペックなやつ作りたいな...聖魔銀って錬成できるのかな?今までやった事ないんだけど...試してみるか!
『聖魔銀よ・我が魔力を喰らい・此処に創られよ』
すると手元に淡い光が集まり、掌に重量を感じたと思うと、光は霧散しその後には、魔力を纏った輝かしくも禍々しい光を発する金属が有った。
「おぉ〜出来たな!それじゃあこれを仮面の形にしてと............おっし!とりあえずこれでいいか、そろそろ急いだ方がいい気がするしな。」
そして僕が音のする方に近づいて様子を見てみると、
「あれは...貴族かな?だからまだ山賊をギリギリ抑えられてるのか...急に出ていって隙を見せたところを責められると大変だから、、本当に危なくなるまでちょっと様子を見るか...............あっ!!」
盗賊の頭だと思われる奴が、騎士隊長だと思われる人を袈裟斬りしたところから、どんどん山賊が馬車に近づいていき、危険な雰囲気となってきた。
「そろそろやばそうだなっ!」
騎士隊長は、山賊に意地でも食らいつこうとして立ち上がるが、急激なHPの低下により体が思うように動かないようだ。
そして1人の山賊が馬車に触れようとした瞬間、その山賊の腕が宙を舞った。
「うぎゃあぁぁぁぁぁ!!なんだぁぁぁぁ!?」
「なんだなんだ何処からやられたんだぁ!?」
「周囲を警戒しろぉ!!早く!!すぐに警戒しろぉ!!」
山賊たちは、何者か分からない襲撃者に驚きを隠せないようだ。今更警戒しても遅いのにな...
僕は山賊たちの後ろに立ち、言った。
「もう手遅れだよ、、今更警戒してもね。僕が君たちを殺し尽くしてあげるよ。」
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