第1話  ブラックドラゴン


「....やっば!服ないの忘れてた!どうしよう...っていうか、それより先にやることがありそうだな。」


 すると、少し離れたところから何か大きな物が、凄い勢いで木々をなぎ倒しながら、向かってくる音が聞こえる。その音が徐々に近づくにつれ、それの正体が露わになっていく。


 目は赤く、大人の手よりも大きい鋭い牙が並ぶ口、身体は黒く光沢を放つ硬そうな鱗で覆われており、並大抵の攻撃では、ダメージが全く入らないことが分かる。


 普通だったら誰もが絶望し、死を受け入れてしまうようなこの状況。だがその目の前にいるのは普通の人間ではない。


「おっ!ブラックドラゴンじゃん!ラッキー!!

こいつ経験値めっちゃ美味しいんだよね〜!!

暴れられても面倒だし、パパッと倒しちゃうか。」


 そして、一気にドラゴンの懐に入り、腹の柔らかい所を、思いっきり殴りつけた。


 ブラックドラゴンからすれば、柔らかくてうまそうな獲物を見つけ、泣き喚く様を見ながら、一口でバックリ食べようとしたら、いきなり獲物が消えたと思ったら、腹にとてつもない衝撃が走り、何をされたか確認する間も無く、ドラゴンの意識は闇に呑まれていくのだった...


「よっしゃ〜!!レベル1で倒せるか心配だったけど、『身体能力強化』の魔術と、武術の『発勁』使えばいけるもんだな!」


 ここで補足させてもらうがブラックドラゴンは、ドラゴン種の中でも種族としては、古龍に次ぐ強さを誇る最恐と称される魔物である。


 もしこのドラゴンが街を襲ったら、王都の騎士団が総出でやっと倒せるかどうかと言ったところである。


「さてと、ドラゴンは売れるから素材をしっかり取ろう。」


 そういうと、手刀でドラゴンを解体し始めた。

一つ言っておくが、手刀なんかで普通は切れないはずだが、この男はやすやすとやってのけている。


「そういえばレベルはいくつぐらいになったのかな〜?」


  名無し  10歳  レベル837


 職業 なし  

 【選択可能職業】

 ・剣術士  (神域職 剣神転職可)

 ・魔術士  (神域職 魔術神転職可)

 ・テイマー  (神域職 魔王転職可)

 ・弓術士  (神域職 弓神転職可)

 ・クラフトマスター  (クラフト系職業をコンプリートにより職業に出現)

 

 その他もろもろの、前世で手に入れた職業が表示されていた。


 「やっぱり職業も戻ってくるのか...それにしても相変わらず、いきなりレベル上がるんだよな...。とりあえずレベルは上がったから、職業でも設定しようかな。」


 職業を設定することで、その職業特有のスキルや、補正がかかったりするが、1度決定してしまうと変更することができなくなるので、普通ならばその人に合った職業が3、4個表示されると、才能があると言う。


 もし普通の人がこのステータスなどを見た場合、神の生まれ変わりかと思われ、教会に連行されるだろう。


 「パパッと職業決めちゃうか。第1はこれで第2はこれでっ...あーやっぱり一つだけ枠空けておこ。」


  職業 第1職業  剣神

     第2職業  魔術神

     第3職業  武闘神

     第4職業  クラフトマスター

     第5職業  マジシャン

     第6職業  商人

     第7職業  魔王

     第8職業  なし


 職業をこんな簡単に決めていいのか少し気にはなったが、レベルを上げればまた職業欄が増えるから別にいいかと思い、さっさと決めてしまったのである。



 


 

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