第9話
「聖女様のご遺体を発見しました!
すでにミイラ化しています!
随分前に殺されておられたようです!」
「知らなかったんです。
聖女様だとは知らなかったのです。
ただの奴隷女だと思っていたのです」
「殺しなさい。
殺して城門に晒しなさい。
一族一門誰ひとり許してはいけません。
許せばこの国もカーゾン王国のようになりますよ」
私は陰で『血塗れ聖女』と呼ばれています。
聖女を虐待し殺した者だけでなく、その者に連なる者は、例え幼い子供であろうと妊婦だろうと、情け容赦なく殺すからです。
許されるのは、身内の罪を密告した者だけです。
ですが、密告した者も命は助かりますが、重労働刑に処せられます。
憎しみだけなら、ここまでの虐殺はしなかったでしょう。
最初の見せしめだけで、後は密告した者を無罪放免する事で、聖女を虐待殺害していた者を、早く発見する策を使ったでしょう。
ですが、それが許されない状況になっていたのです。
国境を接するカーゾン王国が、聖女を奴隷売春婦として売っていた事で天罰が下って、おぞましい滅亡に至ったのです。
ソモンド王家に伝わる神々の伝承の中に、アポロン神の事柄もあったのです。
それによれば、太陽神と称され、芸術と羊飼いを弓をとり戦い守護する武の光明神と言う表の顔と、疫病を流行させ人々を大量虐殺する裏の顔があるというのです。
だからこそハリー国王は、少々おめでたいバーン王太子を誘導して、聖女を大量に購入しようとしていたのです。
その一点だけを見れば、賢王と称えるべきなのですが、自分の国の貴族や商人や神官が聖女を虐待殺害していたのですから、帳消しどころかマイナスでしょう。
ハリー国王もそれを自覚しているからこそ、私の策を承認してくれたのです。
このままでは、歴史あるソモンド王国が滅ぶと、強く危機感を持ったからこそ、私の大量虐殺に協力してくれているのです。
誰だって、カーゾン王国の民のような死に方はしたくないです。
四六時中、のたうち回るような激痛に苛まれるのです。
身体中が膿み腐り、虫を呼び寄せる強烈な臭気を放ちます。
全身に虫が集り、卵を産みつけられて蛆が湧き、蛆に喰われる激痛にも苦しむみ、家族にその病をうつしてしまうのです。
天罰が下れば、そんな地獄の亡者のような死に方をすることになるのです。
エイル神の加護を失った事で、魔法薬が全く効果を現わさないのです。
まともな奇跡を使える聖女が一人も残っていたかったのです。
国境を越えて逃げようとした民も、疫病の流入を恐れた隣国の軍隊に殺されましたが、問題はその疫病が近隣諸国にまで広がっている事です。
一日でも早くエイル神様の怒りを解かなくてはいけないのです。
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