第13話 今後の予定
採ってきたものは、全部で六種類。
落っこちてた白い木の枝に、白いバラっぽいお花。
それから薄緑色の長ーい紐と、青っぽい氷に見えるきれいな石。
氷で出来ているように見える草と、やたらと背の高い真っ白な草もある。
この中で一番有望なのは、最後の真っ白な草!
先の方に、こう、稲のような房が付いてるのが期待感を煽る。
そんな訳で、真っ先に”検索”さんに教えを請うのは真っ白な草だ。
・真っ白な草→雪原草
雪の中で育つ。
穂先は食用の穀物として利用される。
雪の深い土地の牧草に最適。
「食用、きたー!!」
「え、ちょ!? あぶな……!」
興奮のあまり、立ち上がろうとして天井で頭を打ち付けた。頭を抑えてのたうち回る私に、アイラは大きなため息を吐く。うう……アホな姿を見せてしまったよ。
幻滅させちゃっただろうか……ショボン。
結局、興奮して不用意に立ち上がりそうな私の代わりに、アイラが残りを全て”検索”してくれた。分かったのは、拾ってきたものの半分以上が食べられるということで嬉しい限りです。
「このバラっぽいのは、花びらの部分がタマネギの代用品になって――」
アイラが書き出してくれた内容はこんな感じ。
・白い木の枝→オイルウッド
雪の中で育つ。
樹皮は焚付に、中身は常温で食用油として利用できる。
これは、見た目が白樺の木に似てると思ったやつだ。この寒い環境なら、ラードみたいに使えそう、かな。
・氷の草→氷室草
寒さの厳しい土地でしか育たない。
冷気をまとっており、鉢植えにして部屋を冷やすために使用されることが多い。
寒いのは間に合ってるけど、冷蔵保存したい時にはいいかも?
・薄緑色の紐→ポテ蔓
環境を選ばず育つ蔓草。
蔓は糸や縄の材料になり、根は食用利用可能。
育った環境によって、特徴が変わる。
有用植物! 見つけたら、根っこを掘らねば。ジャガイモっぽいお芋だと、より嬉しいね。山芋も良いけど、ジャガイモの方が汎用性が高い気がします。
・白い花→オニオンフラワー
寒さの厳しい場所でも育つ。
花は食用利用可能。
生だと辛く、加熱すると甘くなる。
なんか名前からして、玉ねぎとしか思えない……
使い勝手が良さそうでなによりです。
・青っぽいきれいな石→氷結晶
氷属性。
魔法具の材料になる。
岩塩だったらなーと言う気持ちはあったけど、仕方がない。
・穴から取れる青土→青土
氷属性。
魔法具の材料になる。
ついでに”検索”してくれたのは、今いる穴から取れる土。
氷属性ってことだけど、”トーチ”を貼り付けても特に変化がないところを見る限り、特別熱に弱いってことはないみたい?
ただ、火が消えるとあっという間に冷たくなるから、熱を奪う性質はあるのかも。
早めに床に敷く断熱材が欲しいな。
氷原草はどうだろ?
たくさん集めて敷いてみたら、多少は暖かくなるかも知れない。
「それで、レイちゃんが興奮したのはなんだったの?」
説明された内容に興奮を抑えきれない私を見て、アイラは苦笑しながら首を傾げる。私が興奮したっていうと……ああ、雪原草!
「アレは、主食系」
「主食……お米?」
「お米ではないけど、麦系のなにかの代用品になると思う」
「じゃあ、アレは多めに集める必要があるわね」
「幸いたくさん生えてたよね。頑張って集めよう」
アイラも、ホッとした表情になってから気合を入れ直す。
とりあえず、何日か分の米はあるので、食料集めは明日以降でもいいだろうという結論で落ち着いた。
当座は、無理せずに凍えないうちに穴に戻ってくればいいだろう。
お米はお粥にすれば、かさ増しも出来るんだもの。
話し合いで、互いのスキルや魔法に関する方針を決めた。
私は”火魔法”で部屋を暖めつつ”地魔法”の習得を目指してみる。”地魔法”で何が出来るかは分からないけど、有用な魔法を覚えられたらいいな―という妄想。
通路は何とか通り抜けられる程度に広げたけど、毎回、四つん這いにならないといけないのはどうにかしたい。簡単に掘り広げられるような魔法がないかなーと、そう思う次第です。
寝る前に、必ず魔力を使い切るのが私の義務で、スキルの方は、必要に応じて使うことになる。
なんでも、魔力や体力は使い切ると最大値が増えるんだそうだ。アイラが昏倒したのは、それを試したせいだと聞いた時には、思わずその場に突っ伏した。
――だってね?
死ぬほど心配したんだよ??
試す前に、言っておいてほしかった……
そんなアイラが優先して鍛えるのは、”ファーム”スキル。一度に使う体力の量も多いから、寝る前には必ず体力を使い切るのは私と同じように義務だ。
”水魔法”も鍛えることになっているけど、こっちは”ファーム”ほどの緊急性はないので魔力を増やすのは後々の予定です。
頑張れアイラ、”ファーム”に私達の食生活がかかってる!
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