第6話 プロフィール

 アイラにアクセサリー作りを見せてもらった後は、脳内アナウンスのすり合わせを始める。

アイラがメモ帳を持っていたから、ページをちぎって、まずはそれぞれの記憶にあるものを書き出す作業から。


 私のは覚えている範囲だと、こんなかんじ

・検索

・データなんちゃら

・プライバシー

・プロフィール

・錬金術

 この辺はゲームとかで言うところの”スキル”ってやつだと思う。

・光魔法

・火魔法

 この二つが魔法。

ちなみに、火魔法はリュックの中から書くものを捜しているうちに追加で新しく覚えた。光魔法も、レベルが上ったって聞こえたけれど、詳細は分からない。

代わりに蛍光灯っぽい懐中電灯と、ライターがいなくなってたから――まあ、そういうことなんだと思う。

こう――電化製品やそれに近いものが魔法に変換されてる的なかんじ。


「しゅうりょー!」


 互いが書き終わったものを交換して確認。

……およ?

アイラの書き出した中には、スキルらしきものが随分と多い。

私の方に入ってなかったのは

”念話” ”地図” ”記録” ”時間感覚” ”ファーム”の五つだ。

”データストレージ”は、私が”データなんちゃら”って書いたやつだな、多分。

魔法の方は、私と同じで”光魔法”は入ってる。


「なんかこれって、プラホの基本機能っぽいのが多い?」

「そうね。あたしのとレイちゃんので違うのは”ファーム”と”錬金術”かしら?」

「魔法はさっき、懐中電灯とライターが化けたっぽい。そしたら、その二つの違いって何で?」


 うーん、と二人して首を傾げる。

これ、どうやって使うのか分からないとどうしようもないよね。分からないことは、プラホで検索すればすぐに分かったのにと思いつつため息を吐く。


「こういう時にプラホで調べられれば簡単なのにね」

「言えてる。こういう時に『検索』したいよね」


”検索、内容、を、指定、して、ください”

 

 アイラの言葉に苦笑交じりに同意した瞬間、男のものとも女のものとも判別しづらい声が頭の中に響く。


「え!? うそ!? えっと、じゃあスキルの使い方!」


 思わず息を呑んだところに、アイラが喜び勇んだ声を上げる。なんか、アイラの方にも同じような現象がおきたっぽい。


”スキル、の、使い方、ですね?

該当スキル、で、出来ること、を、使用する意志、を、示すこと、で、使用、できます”


 えっと、”使用する意志”ってことはスキルを使いたいって思えばいいってこと?


”スキル、を、使う際、に、言葉、を、発する必要、は、ありません”


 考えるのと同時に返事が帰ってきた。

コレは便利。

……便利かな?


 アイラを見ると、真剣な顔をしてせっせとメモを書いている。

さっきの声からすると、”検索”の結果を書き出してるんだろう。

すぐには終わらなそうな気配がするし、私の方でもスキルについて質問を続ける。

その結果、プラホとかから得た以外のスキルも確認出来るようになった。その上、どんなものなのかの説明ももらえてちょっとホッとする。訳のわからないことばかりだと、やっぱり不安だもの。


・光魔法

LV1 ライト

   持ち運びのできる明かりを作る。

LV2 フラッシュ

   瞬間的に閃光を発する。

LV3 エリアライト

   指定範囲を明るく照らす。

・火魔法

LV1 トーチ

   火を点ける。


 魔法はどれも、消費魔力によって、大きさや効果時間が変動するらしい。

最大消費魔力はレベルと同量まで。

LV1のライトは一時間しか保たないみたいだから、レベルが上がるまではしょっちゅうかけ直す必要があるみたいだ。

トーチで点けた火はLV×三十分間、燃やすものがなくても点いたままらしく、暖房代わりにも使えそう。元がライターっぽいのに、素晴らしい!

 

スキル

・算術 LV6

 計算が出来る。

・刀術 LV3

 竹刀・木刀・刀を扱うことが出来る。 

・大食い LV3

 たくさん食べて、どんどん体力をつけよう。

・料理 LV4

 料理ができる。


 この四つは、私が元々持っていたスキルみたいだ。はは、”大食い”って、スキルなの? なんというか、笑うしか無いね。

ちなみに、レベル1は駆け出し、レベル2で初心者、レベル3になってやっと初級。

上限はレベル10らしいから、算術は随分と高レベルだ。学校で習った範囲以上のことは出来ないのに。どこまでの計算ができるとレベル6になるのかが謎すぎる。


 プラホから手に入れたスキルは、レベルが存在しないものを除いて一律レベル1。


・検索 知りたいことを調べられる。

    レベルにより、得られる知識が変化する。

    レベル1だと知らないとおかしい基本知識レベルみたい。

・念話 テレパシーで会話できる

    レベルが上がる毎に、会話できる相手が増える。

    ”記録”スキルに相手が登録してある必要がある。

    アイラを記録しておかねば。

・地図 地図を作ってくれる……らしい。

    レベル1の現在は、歩いた範囲が記録されるだけ。

・記録 友人・静画・動画・音声を記録する。

    友人は”念話”に必要だけど、他のやつは記録してどうするんだろう?

    再生する道具があれば、意味があるのかな?

・データストレージ 物質をデータ化して収納する。

          レベルによって、データ化出来る量が決まってるらしい。

・時間感覚 どこにいても時間が分かる。

      アラーム機能もついてて、色んな方向で時計が必要なくなった。

      レベルはなし。

・プライバシー プロフィール情報を隠す。

        ”鑑定”とか”看破”というスキルを無効にする。

        隠せるのは、同じレベルの相手までみたい。      

・プロフィール 自分の状態確認と、スキルや魔法の管理を行う。

        出来ることが明確に分かるのは便利。

        だけど、自分がゲームの駒キャラクターみたいで微妙な気分。

        ”時間感覚”と同じで、レベルがないスキル。

・錬金術 様々なものを作り出すことが出来る。

     鍋に入れて、棒でグルグルかき混ぜると色んなものが出来るらしい。

     レベル1で出来るのは、同じ種類の素材を一つの物にする融合。

     それから、グルグルして何かを作る合成の二つだ。

     レベルに応じたランクの素材しか扱えない。


 どうやら錬金術って、プラホに入れてたアプリのゲームが元になってるっぽい。

ところで鍋って、飯盒でもオッケーですか?

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