第7話

「だったら9月5日にお越しいただけますか」

「ええ、いいですよ」

「今回は新倉敷じゃなくて、福山まで来てください。家の車でご案内いたします。どういった名所がいいですか」

「おまかせします」

 竹内哲夫は身長160センチ体重70キロポッチャリしていた。大人しくて控えめなどこにでもいる男だった。満里奈は正直この男でいいのだろうかと思っていた。今まで2度恋愛をしたが、その男達の方がましだった。

 9月5日満里奈はミニクーパーで待って居た。

「今日は福山をご案内します。倉敷もいいですけど、それは次回にします。まずいろは丸展示館に行きますね、それから

鞆の浦

仙酔島  と回った。

「普通は『僕が運転しますよ』と義理でも言うものでしょう」と思った。

 6時にホテルに送った『明日は9時に来ます』と言ってさっさと帰った。

 家に帰った。父親が聞いた。

「どうだった」

「あまりよくないわ」

「結婚相談所の紹介ってそんなもんかも知れないな。あまり積極的でない人が多いのじゃあないか」

「そうなのよ、イケメンでもないし、筋肉隆々でもないし、スポーツマンでもないし」

「そう言うもんだよ、竹内さんの良いところを探したらいいよ。お前が積極的に探さないといけないよ」

 9月6日9時に迎えに行った。

「今日は、みろくの里、福山城、福禅寺に行きましょう」

「竹内さんて、ご趣味は何ですか」

「油絵とピアノと黒人ブルースです」

「へーえ、ブルースを歌ってください」

 yeal not to temmptationを歌ってくれた。

 急遽、福山コロナシネマワールドに行った。ここにはピアノがあった。

「何がいいですか」

「ジャズのスタンダードナンバーを」

 マイウエイとキルミーソフトリーウイズラブを弾いてくれた。

満里奈の心は一変した。

尊敬した。

尊敬から好きに変わった。


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