第4話

 電話のときにメモを取らなかったので、13日が竹内か雨宮かわからなくなった。まあ、いいや。13日の12時に新倉敷グランドホテルの喫茶室に行けば、どっちかが居るだろうと思った。

 満里奈は楽しかった。意外にも竹内が頼りがいがありそうなことや情熱がありそうなこと。雨宮が予想通り礼儀正しくて冷静な事。この二つを考えて私の眼に狂いは無かったと、一人ほくそえんでいた。

 しっかりと二人を見極めないといけない。と思った。まあ、果報は寝て待てと言うから、のんびりしようと思った。確かに良い人が二人見つかって良かった。それに私はまだ25歳なのだし、あせることはないわ。

 竹内哲夫との待ち合わせの日が来た。13日新倉敷グランドホテルに約束の15分前に着いた。竹内哲夫はもう来て待っていた。

「お待たせして申し訳ございません」

「いや、僕が早すぎたのです」

「どうして、私が奈良の結婚相談所に登録したか疑問に思われましたか」

「ええ、まあ」

「高校の修学旅行で奈良に行きまして、いっぺんで奈良が好きになって、奈良の方と結婚して奈良に住みたいと思うようになりました」

「奈良の何が好きになったのですか」

「お寺とか、公園とか、町並みとかです」

「奈良には小さいお寺で良いお寺がたくさん有りますよ。奈良町の元興寺や法華寺不退寺なんかが有ります」

「また、奈良に行ったときに連れて行ってください」

「喜んでご案内しますよ」

 なごやかな雰囲気の裡に二人の初顔合わせは終わった。

 さあ、次は来週公認会計士だ。

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