第2話

  7月6日、「お見合いパーティー」が日航ホテル奈良の朱雀の間で開かれた。満里奈は緊張していた。奈良マリッジクラブ主催の「お見合いパーティー」の席である。わざわざ、遠い広島県福山市から来たのである。なんとしても今日中に相手を見つけたいと思っていた。

 22歳の頃からなんとなく結婚を考えるようになっていた。高校の修学旅行で奈良に来て、奈良が大好きになった。結婚したら奈良に住みたいと思うようになった。父道夫と母秀子と弟正彦にそれとなく満里奈の願いを伝えたら、三人とも承諾してくれた。

「お見合いパーティー」は午後1時に女性司会者の軽妙な司会で始まった。参加者は女性12名、男性20名であった。女性とその両親がテーブルに着いて、男性側の3人が来るのを待つ。男性とその両親は、お見合い時間が開始になると、女性の待つテーブルを回る、と言うものであった。

 満里奈は道夫に言った「今日は本当にありがとうね、絶対今日見付けるからね」

「そんなにあせらなくてもいいよ、30歳くらいまでに結婚すりゃあいいのだよ」

と道夫が言った。秀子も言った「あんたの友達で結婚した子はまだ誰もいないわね、あせらなくてもいいんじゃないの」

 満里奈は言った「私ももう25歳よ、充分結婚適齢期よ早すぎることはないわ。あと10年したら35歳よ、そうなってから焦っても遅いわ」

 1時10分いよいよお見合い時間のスタートである。男性側が、お目当ての女性のテーブルめがけて突進した。持ち時間は一人10分で、10分経つと次のテーブルに行かなければならない。

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