奈良に恋して

尾形昭

第1話

 6月の午後の、キラキラした光に満ちた、高級ホテルの1階のロビー。ここは福山パレスホテルである。このホテルでアテンダントとして働いているのが西田満里奈25歳であった。

 アテンダントとは、お客様をお迎えして様々な用向きにお応えすると言う仕事だ。もう7年になる、ベテランの域に達していた。満里奈は高校を卒業して福山パレスホテルに就職した。

 中学高校とソフトボール部に入っていたので体も強かったが気も強かった。明るく前向きな性格で誰からも好かれた。身長は163センチ肩幅が広くてモデルのような体型だった。

 服装は流行に敏感で、ファッションは上品で趣味が良く、ファッション雑誌を毎月3誌も買っているほどであった。

 その満里奈が今意を決したような厳しい顔をしてホテルに帰って来た。満里奈はたった今「奈良マリッジクラブ」に「お見合いパーティー」参加の申込書を郵送して来たところだった。来月の6日に奈良で開かれる「お見合いパーティー」に参加するための申し込みをしてきたのだった。

 なぜ、奈良で開かれる「お見合いパーティー」にわざわざ福山から出席するのであろうか。

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