第17話 生産スキルと魔力操作

 こんにちは、トラウです。婚約者になったサクラと、その父親との顔合わせは終わった。そして、今からサクラたちは帰ってしまう。という事で、やってきましたLet's crafting time!お土産として、何かしらアクセサリーとかを送ろうと思うわけです。せっかく婚約できたわけだしね。

 最近はもっぱら杖などの魔道具作りばかりだったので、アクセサリーを作るのは久々だ。五歳の時に、スキルの練習のために何品か作ったのが最後ではないだろうか。久々のアクセサリー作りという事で張り切っていこうと思う。


 まずは、創造魔法でミスリルを作って、そのあと、水属性の魔石を宝石のように研磨した状態で作り出す。そして、その魔石に、水属性の回復魔法を付与する。個人属性の回復属性ほどの即効性は無いが自然治癒力を高め、微弱な再生効果リジェネレーションをかける補助バフ魔法。アクセサリーなどに付与すると、身に着けるだけで回復力が上がる。因みに、水属性の魔石に付与することで、その効果は増幅されていたりする。その魔法を付与した魔石をペンダントトップにした、ミスリルのネックレスを作る。ペンダントトップの裏に、小さな意匠を刻んで完成である。


 ぱっと見は、完全にサファイアや、アイオライトといった蒼い宝石のネックレスだ。昔より精密に作れたので、魔力操作の上達による、生産スキルの上達も確認できた。鑑定してみると、


 蒼再晶のネックレス…作成者:トラウ・フォン・フラメル 品質:S

 このネックレスを身に着けている者は、再生の力を得る。宝石として使われている魔石には再生の魔法が付与されており、魔石の力と、ミスリルの力で数倍に増幅されている。身に着けるだけで、傷の再生を早め、病気や毒などから身を守ることができる。


 こんな感じ。かなり性能はいいんじゃなかろうか。昔作ったブレスレットよりも性能や品質は上がっている。うん、成長を感じるね。


 という事で、サクラに渡そう。


「しばらくでしたが、有意義な話をさせてもらいました。」とサクラのお父さん。


「いやいや、こちらこそ。」と父上。


「トラウさん!うちに帰ったら手紙をかきますね!魔力操作の訓練の進捗とか、質問だとか、他愛もない世間話とか。」とサクラは言った。


「うん、楽しみにしてる。そうだ、これさっき作ったんだけど、よかったらつけて。」


 とネックレスを渡す。


「これは?」


「ネックレス。つけるだけでいいことがあるから、ぜひつけてほしい。」


「いいんですか?かなり高そうですけど。」


「大丈夫、魔力があればいくらでも作れるから。」


「なんだか、メイス先生がトラウさんのことを化け物と呼ぶ理由の一端が分かった気がします…。」


「ん?どうかした?」


「いいえ、何でもないです。そろそろ出発なので行きますね。」


「じゃあ、また今度。」


「ええ、それに手紙も書きますしね。では、また。」


「さよならー。」


「そういえばトラウ。さいごなにをわたしてたんだ?」


 サクラと、その父親、その護衛などが去っていったあと、父上がそう聞いてきた。


「ネックレスですよ。婚約の記念とお土産にって。」


「そうか。それで、それは(世に出して)大丈夫なのか?」


「えぇ、(かなりの自信作なので世に出しても恥ずかしくないので)大丈夫です。」


「そうならいいんだが。」


 僕はあのネックレスを楽観視しすぎていたのかもしれない。


 ♢♢♢

 side:サクラ・ツー・ハルミヤ


「うーん。……………………ふぅ。そろそろ剣術の先生来るしやめるかー。」


 サクラは日課になりつつある魔力操作の練習を切り上げ、庭に向かった。その胸には例のネックレスが光っている。




「今日は打ち合いの練習をします。おや、そのネックレスはどうされたのですか?」


「これはこの前婚約者のトラウさんのところに行った時にお土産として貰ったんです。」


「ほう、1つ鑑定してみても?」


「えぇ、構いませんよ。」


「それでは失礼して。……ッ!?なんなんですかこの前アクセサリー!その婚約者の方は何と?」


「え?付けてるだけでいい事があるから付けといてくれると嬉しいって…。」


「え?それだけでこれ渡してきたんですか?これ、魔石とミスリルが使われていて、魔石には再生の魔法が付与されています。ミスリルと魔石の効果でその魔法が増幅されて、傷を治しやすくするだけでなく、病気や毒を遠ざける効果もついてますし、そのどれもの効果が高い。やばいですよコレ。」


「え?それ普通に作れるからあげるって言ってたんですけど…。」


「なんなんですかその化け物。これは王族や貴族相手に売ったらかなりの価値が着きますよ。身につけるだけで毒殺の危険が減り、病気もかかりにくくなりますし。」


「いや売る気はないですよ?せっかく婚約者から貰ったのに。」


「まぁ、そうでしょうね。それにしてもこれ作った人はやばいですね。しかもその価値を理解していない。はぁ、どうなるんでしょう。」


 その剣術の家庭教師は深くため息を着いた。


 そのネックレスの噂が広まり、トラウの元に作成依頼が大量に届くのはすぐあとのお話。



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新作初めました。

こっちは現代ファンタジーものです。良かったら見てください。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054918465291

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