第10話

親竜はとても強い意志の持ち主でした。

こう、と決めたら貫く、強い竜でした。

そして、それは諸刃の剣でもありました。


仔竜はその脆さを知っていました。

昔、己が親竜の立ち姿に憧れ、なれないことへの劣等感や挫折。それに近い感情を抱える事につながると仔竜は知っていたからです。


時折、その片鱗を見て、勇ましく感じていたのはいつまでだったか。

はらはらしながら見ていたのは、いつからだったか、仔竜にもわかりません。

ただ。


ひたすらに見つめるしかできませんでした。

どれほど伝えても、自分の言葉では響かないことも理解しているのです。




仔竜から見て親竜の言は負に落ちないもの寄りになっていました。

あれだけ、毛嫌いしていた物にかじり付いて…心を乱して。


これも、恐れのなせる技かと複雑な思いになるのです。




ねぇ、「    」、

こっち見て。気分転換の話をしよう?



そういえない事が仔竜の弱さなのでしょう。




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