第7話

仔竜が少し変わったのは、もっと成長してからでした。

投げつけられる言葉の痛みを熟知した仔竜は、言葉を大事にするようになりました。


仔竜が生活をするその地域の言葉はとても美しいものでした。

言葉は言霊。強い意志を込めた言葉は運を運んでくると知りました。


己には縁遠いものであろうとは思えど、言葉の世界に魅了されたのは、仔竜にとっては利そのものでした。


ペンは剣より強し。

仄暗い癒しの中で見つけた事ができたのは、親竜の舌力の偉大さからでした。

他の竜を寄せ付けぬ語彙力、論法は、荒れた言葉を使うわけでもないのに、他の竜からはぐうの音も上がらないのです。


やはりこの竜は凄いのだ。

心からの自慢になりました。



少しずつ、歪な形をしていた仔竜の心は、

まともな竜に紛れる事ができる程度に修復されました。



再び変形するのは数年後の話。


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