第3話(少し暗い)

時が経って、しばし後。

仔竜は他の竜とは気質の違う、『変わっている』竜に成長しました。


こうしなさい、と言われることは嫌で。

こうしちゃダメ、もとても嫌。


でも、口に出すことができませんでした。

親竜がとても怖かったのです。


伸びた尻尾を掴まれる。

強い力で叩かれる。

勿論それには理由があったけれど、

親竜がとても、怖かったのです。



どうしてそんなに叩くの?

(お前が悪いことをするから)

どうして怖い顔ばっかりするの?

(お前が悪い仔だから)


いつしか自分否定ばかり頭に浮かびます。


どうして生まれたの?

本当に愛されていたの?

ほんとはいらなかったんじゃないの?


目の前がぼやけてきています。


いらないのに育てたの?

だからいつも叩くの?

生まれなければよかったね。


死んで仕舞えばよかったね。


ぼやけた視界は雫になりました。



仔竜は毎日毎日鳴く仔になりました。

仔竜同士が学ぶ学び舎でも、お前は変だと揶揄われ、

お家はお家で、怒られて。


怒るということを愛情と捉えられなかったんだもの、と後の仔竜は言いました。


あの時、ほとんど記憶がないの。

仔竜は未だに遠くを見つめるのです。



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