第1話

仔竜が少し成長し、一匹で歩ける様になった時。

気づくと、仔竜の周りには《小さいもの》が多くおりました。

仔竜を竜として扱わず、弟妹のように構ってくる彼らを仔竜はとても愛しておりました。


《小さいもの》は牙もあれば鋭い爪もある。

仔竜自身にはまだそう言ったものが生え揃っていない。

けれど、仔竜は臆すことなく彼らと遊び、《小さいもの》は決して傷をつけることなく、お互い接しておりました。


仔竜はほとんどの時間を《小さいもの》と共に過ごしておりました。


勿論、そこには親竜もおりました。

きっと笑っていてくれたのでしょう。

記憶には薄いのですが。




後の仔竜は言うのです。

なんで、記憶がないのか、己でもわからないのだ、幼かったからかもしれない、と。

只々、その頃に想いを馳せるのは少し胸が痛むと笑うのでした。

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