竜の親子は笑うのか

こさと

序章

初めて仔竜が己を認識したのは、暗い暗い闇の中でした。

不安で、怖くて、ピィと鳴いたその声を、己の声だと少しして気づくのです。


視界が開けて目の前にぼんやり何かが見えた時、此れが親なのだと気づきました。

初めまして、と声にしたはずなのに、出る音はなんとも言えない音ばかり。


「今日は機嫌が良いね」


小さく笑う気配。穏やかな時。


これが続けば良い。

仔竜は切に願っておりました。




それは、冬の訪れを待つ、秋のことでした。

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