4 悪女

嫌なお客さんに着いて落ち込んでます…(;_;)


河原さんの顔見て癒されたいな(´∀`*)


送信して、直ぐにメールが来る



いいですよ。今から向かいましょうか?


待ってます\(^O^)/



ふう、これでよし!



出ようと思ったら勢いよく扉が叩かれて、ドアノブをひねられた



「ちょっ入ってる、長くない?まーだー?」



私は勢いよく扉を開けた



「わあ、びっくりした!」



トイレの外の鏡で口紅を直した



「ぎゃー!何これ!トイレットペーパーが便器に…!」



ぷっ!


うるさい罰だよ

ざまみろ


私は店で売り上げもあげてるから文句ないだろ

トイレットペーパー如きで怒られることはないはずだ


私のメールで駆けつけてくれた河原さんの席に着く



彼は私の言うことは何でも聞いてくれる、気の弱い優しいお客さんだ



「来てくれてありがとう、嬉しい!今日は飲もうね!」



「はいはい、麻衣さんには逆らえませんからね、頂きましょう」



皮肉混じりだが、来てくれたことに私への愛情を感じる



私がフードやドリンクをバンバン頼んでも、彼は文句一つ言わないで私の言いなりだ


だからその代わり口下手な河原さんには、日々あった出来事や面白い話や驚いた話などをマシンガントークで提供して楽しませている


会話はだるいけど、こういう何でも言うことを聞いてくれるお客さんがいっぱい増えないかな…



私はケチなお客さんが大嫌いだ


あとは説教たれてくる奴と触ってくる奴


安キャバだからしょうがないか


高級店って売り出してる店だと肩凝りそう

これくらいの適当加減が、なんとなく心地いい


それにこんな田舎町で高級もくそもないよね。大体どこの店も同じようなレベルの女の子たちばかりなんだから



ラストの時間になって、お店が終わった



今日はお待ちかね、給料日



そして、ナンバーの結果発表だ



店が終わった時に店長が更衣室に指名本数を書きにいくから、着替える時に結果がわかるのだ



給料貰うよりも緊張する




給料を店長から貰う


封筒の厚みで、ざっといくらかを予測する


10万以上はあるかな

半期で20いけば満足だ



着替えようと更衣室に行こうとしたとき店長に呼び止められた



「最近頑張ってるね、この後時間ある?今後の営業について話たいんだけど…」



とっとと帰りたかったが、なんだか張り詰めた雰囲気が漂っていたのでしぶしぶ従った


更衣室には指名本数が書かれていた



着替えながら横目で確認する



ナンバーワンはやっぱりゆきさんだ


ナンバー2は由美さん



私は…


ナンバー3に入っていた



周りに気付かれないよう、下を向いてはにかんだ




先月はナンバー5で、ナンバーには入っていたが今月はトップ3にまでなっていた



指名率はまだ低いが、場内は伸びがいい


このまま場内をリピートに変えれば、私はゆきさんの座を狙えるかもしれない


野心が蠢く



私の中の悪女が顔を出す



美人でみんなの人気者で誰にでも愛される、私は麻衣



最強の体を手に入れた



美人に金棒



向かうとこ、敵なし




着替えて、店長のいるリストに向かった



「話ってなんですか?」



シフト表から目を離すと店長はこちらに体を向けた



「ご飯でも行かない?」



「は?あ、みんなで話するんですか?」



私は送り待ちで、待機のソファーにだらけたり、携帯いじっている子たちに目を移すと、慌て店長が腕を引っ張って小声で話しだす

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