3 悪の華

けど、私はブサイクなんだ

可愛くない

そんなの言われなくても、自分で痛い程自覚しているんだ


これ以上私の心をえぐらないで


ずっと私の中にある、私の傷付きやすい弱い心を隠して、強がって、虚勢張って生きてきた


ぼろぼろだよ

壊れそうだ


だけど、私は負けたくないんだ


何に?

今まで私を傷付けてきた奴らに

それをあらがえない弱い自分に

そんな「愛」を捨てて、「麻衣」として私は生まれ変わったのだ


はじめての接客に着く

ボーイさんは店の常連という、人の優しそうな40半ばくらいのおじさんに紹介した

「麻衣さんはキャバクラはじめてなんですよ」


そのおじさんは私に興味津々といった感じで、目を輝かせながら上から下から眺めてきた


「そうかそうかはじめてなのか、なんか好きなものを飲みなさい」

「ありがとうございます」


私は事前にボーイさんにはアルコールは飲めないと伝えていたので、アルコールに見せ掛けたノンアルコールを出してもらうように頼んだ


「カルアミルクお願いします」

ボーイさんがおずおずと運んできたカルアミルクを、乾杯してから口付けた

コーヒー牛乳のようだ

私は安心してごくごく飲んだ


「いい飲みっぷりだね!カクテル頼んだからあまり飲めないのかなと思ったよ!」

おじさんは豪快に笑った

まあジュースだし

「お酒強いの?」


「うーん…まあまあ…ですね!」

飲めないというわけにはいかなくなり、私は嘘をついた


「そうなんだ、お酒飲める女性は好きだから、いっぱい飲んでいいからね!」


「はい!」


その後もおじさんはどこに住んでるの、やら歳はいくつだの飽きることなく質問をしてきて、そのたびに私は真面目に答えていった

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