第3話 カミサマのノート

私がそれに気づいたのはテレビだった。

「現役女子高生!!上坂かなこ作家デビュー!!鬼才の顔に迫る!!」

姉がテレビに出てるのは誇らしく、みんなに自慢したい気分だった。

本のタイトルとあらすじを見るまでは。

それは私が書きためた漫画のネタだった。

いつ?なんで?どうしてそんなことを?

という気持ちでいっぱいだった。

同時にこんな感情も浮かぶ。

上手くいけば私があの立場だった。

その座は私のものよ

このニセモノ作家!!

姉が帰ってきたとき、詰め寄る。

「あの話、私が考えたものだよね!なんでそんなことをしたの!」

姉は不敵に笑った。

「何事も目立った方が勝ちよ。あんたがやらないから私が代わりにやってあげただけ!感謝して欲しいくらいだわ!でもね……パクられる側も問題あるわ。バーカ!!」

私はそれを隠しておいたスマホで撮り匿名のツイッターアカウントで拡散した。

瞬く間に拡がり、バッシングを受けた。

本は売れなくなり、ドラマの話も消えた。

姉はうつ病とパニック障害を併発し、病院に運ばれた。

そして、私は姉の記憶、人生から消されてしまった。

現在、姉は30歳。私は29歳。

ずっと同じ茶番を繰り広げて姉に対し復讐している。

こんなこと続けても意味ないのに。


 





           完



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ニセモノ 夜人(らいと) @Leica_camera

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