ステータス
いつから目に見えないものがないと思い込んでいた……。
ステータスは、あるらしい。
ハルは自分で見ることができず、全員が見れる訳ではないということだったが、それ以上詳しくはわからなかった。
しばらく2人で過ごして、次は公式に訪問のやり取りをする事を決めて、瞬間移動で帰った。疲れはしたが往復には魔力が足りたようだ。
「ステータスって、どんなものなの?」
部屋に帰りつくとふっと姿を現したクロノが尋ねてくる。さっきまではいなかったはずなのに、俺が聞きたい事は既にわかっているらしい。
「うーん、俺の感覚だと前の世界のゲームで見た、能力とか体力とかを数値にしたり、言葉で表現したりしたものかな。どんな魔法が使えるかとか、どんな特殊能力があるとか。
数字でみる事で比較できたり、文字で見ることで把握しやすいんだ。体力や魔力の残量も管理できるから、活動調整もしやすいし。
経験値やレベルなんてものもあって、これまでどれだけ経験を蓄えてきたかとか、これからどれくらい習熟すれば熟練度が上がるのか把握できたり。
ゲームによってはレベルアップしたらポイントが貰えて、自分で能力値や熟練度を割り振りできたりしたな」
ふうん、とクロノが考え込む。一瞬、その存在が明滅した気がした。あれ?今お前一瞬だけどこかに飛んでなかった?
多分どこかで何かを確認してきたクロノは何もなかったかのように答えた。
「能力や使える魔法とかを見えるようにするのは、分析の魔法でできるみたい。レベルや習熟度も、それを分析したいって思えば数値化できると思うよ。経験値も。
でも、分析の雛型みたいなのはないから、見える内容は魔法を使う人によって違うんだ。だから、他人との比較はその魔法を使う人にだけしかできない。見える数字が同じ100でも、分析する人によってその意味が変わってくるんだ。
あと、残念ながらポイントを割り振るっていうのは難しいかな。それって剣の練習をして魔法が上手くなるみたいなことでしょ?それじゃ世界があべこべになっちゃうよ」
事細かに返ってきた内容は調査結果らしい。こいつ、努力家だな。考えなくても何でもできるから、魔法のことはよくわからないって言ってたもんな。
「ありがとう、クロノ。分析か、便利だよなー。それって使えるようになれるかな」
今日はかなり多くの魔法を使って疲れたから、もう無理かもしれないけどな。
自己分析は計画立案の礎だ。達成できる計画をたてるためには、自分の能力を把握しなければならない。
それがステータスくらい詳細に可視化されたものなら、便利に違いない。
今日は残りこれだけの魔力があるから使いきってから寝ようだとか、今日は体力の残りが少なめだから休息を多めにしようとかもできるわけだ。
クロノはお礼を言われたことに驚いたように瞬き、照れたように頬を緩めた。
俺の手を握って、何でもないことのようにいつものゆるふわな笑みで口を開く。
「それじゃ、また僕の力を使ってやってみよう?一樹はステータスのイメージを思い出してみて。僕も一樹の考えるステータスがどんなものなのか、参考にしたい」
俺はクロノとソファーに腰かけて、片手を繋いだまま目を閉じてステータス画面を思い浮かべた。
いくつものゲーム画面がよぎって、ああこの画面が見やすかっただとか、これが便利だったとか少しずつ具体的になってきた。
最終的に俺がイメージしたステータス画面は、簡単な数値とスキルや魔法が並び、注釈で詳細を確認できる、本格的なRPGっぽいステータスだった。
ここは乙女ゲームの舞台になるような世界だというのに、何と戦うつもりなんだろうか俺は。
そして、目を開けた瞬間見てしまったのは。
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【クロノ】 LV.∞ HP:∞ MP:∞
種族:神 年齢:測定不能 職業:全能神
力:10~ 知:測定不能 魔:∞ 体:∞ 速:測定不能 運:5~
魔法属性:神
魔法:全能 LV.∞
スキル:測定不能
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目の前にいるのは神様だった。
しかも数値に~だとか、ほとんどカンストしてるのに運だけ低すぎるとか、どこにツッコミいれていいのかわからないステータスに俺は混乱したのだった。
気を取り直し、深呼吸して自分に意識を向けると………確かに見えた!
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【ウリューエルト・カトゥーゼ】
LV.7 HP:70/85 MP:18/70 NEXT EX.760
種族:人間 年齢:6
職業:カトゥーゼ男爵家嫡男 クロノの神子 神の寵児 魂の片割
力:10 知:10 魔:12 体:7 速:6 運:15
魔法属性:(主属性:光 炎 土)全属性魔法
魔法:空間魔法(瞬間移動 望遠視)・光魔法(幻覚 仮想体 幻想光)・炎魔法(小炎)・水魔法(水球)・風魔法(微風)・土魔法(土細工 建設) ・無属性魔法 (分析 能力数値化) ・・・etc.
スキル:危機回避・想像具現化・神との対話・地道な努力・思いやり
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なんだか微妙なものとか、詳細見てみるとグレーゾーン落ちみたいなものとか色々ある。
とりあえず、それから俺は残りの体力と魔力の限界まで鍛練や調べものや魔法の練習をした。
………ステータスって見えてしまうと、レベル上げたくなるよな?
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