第93話 Venus Flytrap

 視界の端に白く螺鈿の如く煌めく手が見える。それはとても小さく、ぺたりぺたりと右眼を進む。手で払ってもいなくならないので鏡を覗くと、小さな蛋白石の色の蜥蜴が目の中を這っている。どうしたものかと瞬けば、食虫植物のような瞼に呑まれて蜥蜴は消えた。通りで近頃腹が減らないはずだと納得する。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る