第94話 夜が生まれる

 一番星と書いてあるトラックが跳ねた石を拾い上げて割れば、夜が溢れるのさ、知らないの。少年は白い息を吐きながらそう言って、身を屈めた。コインを小石のひび割れに捩じ込み、地面に叩きつける。途端にじわりと夜が溢れて、夕暮れは呑まれた。今日のは星入りだ、と示した空には北極星が輝いていた。

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