思惑
ベッドに押し倒されて、キスをして……、頭の中が真っ白になって、身体中が溶けたみたいで……、物凄く気持ち良くて…………。
気が付いたら洋子さんと一体になってて、それが今までよりずっとずっと気持ち良くて……。
「何? 言いたい事があったら言って良いのよ」
「もっ……と……した……ぃ」
「ふ~ん、じゃあ私をここでこれを気持ち良くしてくれたら、もう1回してあげるわよ」
洋子さんは僕の唇を親指で撫でた。
「何だそんな事で良いのか?」
僕は躊躇なく洋子さんの希望に応じた。
「もう……無理……動けない……」
と、言いつつも僕の意思とは関係無く身体中が痙攣していた。
「まだする?」
「洋……子さんが、求む……なら頑……張る」
「うそよ、うそ! 私はそんな鬼畜じゃないからね。キスだけしましょうか」
僕は洋子さんのキスを受け入れた途端に目の前で火花が飛び散り、頭の中が真っ白になり意識を手離した。
▲△▲△▲△▲△▲△▲△
私は大きな溜め息をついて彼女を見下ろす。とどめになったのは少し舌を絡めたキス。
彼女は今、失禁の真っ最中。私はそれをバックに天井の片隅に向かって手を振った。
暫くすると白衣を着た男女3人がキャスター付きの担架と共に部屋に入ってきた。
「A28麻酔薬を1レベル投与。第8研究室にて、パターン3の記憶に上書き、感度レベル1段階ダウン後、西病棟地下に速やかに移動」
私の指示を聞いた3人は彼女を担架に乗せて部屋から出ていった。
担架が部屋から出ていくのと擦れ違いに1人の女性が部屋に入ってきた。
「お疲れ様です」
彼女はそう言って床に落ちていたガウンを拾って私の肩に掛けてくれる。そしてタバコを取り出し火を着けた後、私に渡してきた。
私はそれを受け取りソファーに向かって歩きだし、大きくタバコの煙を吐き出した。
「概ね順調だな。彼女がこの研究室に来てほぼ3年、表舞台に送り出すのに後1年もあれば余裕になってきた。これは予定より2年程早い。
どうする? 後残りの2つも教える事は可能だぞ」
「いえ、それは不要かと。80%の確率で先天性で身体が覚えているかと。もし覚えていなくとも実時間で2、3ヶ月あれば十分に使えると思います」
それもそうか。私はそう考えて立ち上がり部屋から出た。彼女も私の後ろに付いてきている。
「どちらに?」
彼女は不思議そうに私に問いかけてきた。大方、彼女が思っていた方向に私が向かっていないからだろう。
「第6研究室だ。メモリーパターン3を上書きさせるから、一応な。ところでお前の方はどうなってるんだ? 本当の研究は進んでいるのか?」
「そっちは既に微調整の段階よ。早ければ今年中には発表されるわ」
「……今年中か、それは楽しみだな。流石は香織だな」
「そんな事ないですよ。お兄さんの助言が無かったからここまで出来なかったと思うわ」
ちっ、こっちの方が予定より早すぎるな! 今日中に潰しておくか……。
「なぁ、香織。……あ、あれだ、久しぶりに……どうだろう? ダメかな?」
「ダ、ダメな訳なんてあり得ません。でも仁美を抱いた後なのに大丈夫ですか?」
「香織を相手出来るなら全く問題ないな。準備室でも構わないか?」
「お兄さんとなら何処でも良いですよ」
お、ラッキー! 準備室ならA26が置いてある。
………5年分ぐらいで良いかな? 記憶をデリートさせてもらうよ。
「M計画はまだこの世に出したくないんだよ」
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