性転換剤
「今の貴女は身長170センチ、体重58キロ、バスト88、ウエスト62、ヒップ89よ。因みにブラは70のDでいいと思うわ。
因みに私もだけど、死ぬまでこの姿を維持出来るわよ。どれだけ食べても太らないし、全く食べなくても痩せ細る事はないわ。でも、検証はしていないけど多分栄養失調で死ぬ事になると思うけど。
私の身体には重大な欠陥があったけど、貴女の身体はほぼ完璧ね。この毛深さぐらいなら以前に開発した脱毛技術で補えるし……、うんうん」
この後僕は、やたらピンク色した水の中に押し込まれた。
「はいはい、肩までちゃんと浸かってね」
「すみません、これは何を……」
「全身脱毛よ。浸かってるだけで毛根まで無くしてくれるの。完全永久脱毛、2度と生えてくること無いわね」
確かに下半身は毛深い方だったかな? 気のせいか皮膚がヒリヒリしてきたぞ。ヒリヒリするんだけど何か……、何か気持ちいい!
「ダメよ、ちゃんと腕を上げて脇を溶液に浸さないと。念のために後20分は浸かっておきましょうか」
何か凄く股の辺りがムズムズしてきたぞ。
「んん……んぁ……ぁぁ」
「何々、もしかして……感じてるのかしら? そうね、貴女は性器の周りも結構毛深かったからね。ピリピリ感が刺激になってるのね。
でも、貴女って本当に冷静ね。本来ならもっと何を飲ませた? これからどうするつもりだ! とか、喚き散らして良いのに、そんな素振りいっこも見せないし……。
説明するわね。貴女が飲んだ薬は───」
結論から言うと、僕の飲んだ薬は性転換剤と言えば早いだろう。ホルモン剤とかではなく、完全な性転換の為の薬、染色体を直接刺激して、y染色体をx染色体に変えてしまう薬だそうだ。
これは国からも許可の出ている製薬で性同一性障害者の為の薬開発だと言う。国とこの病院と薬品会社が民間には極秘で進めているプロジェクトで、僕は第3段階の成功例の第1号者となるらしい。
因みに第1段階は性器のみを変える薬で成功はしたらしいが、男性と女性とでは骨盤の形が違うために成形された子宮が圧迫されてダメという事に。
第2段階は体全体を作り替える薬で作り替えることは出来たが、作り替える行程中に使用者が死んでしまう確率があまりにも高かったという事と性転換率が100%ではなかった為にダメという事に。
この第2段階の唯一の生き残りが佐原洋子さんで僕の目の前にいる人だ。年齢は27歳、当然ながら元男性で本名は内藤尊というが、戸籍上死亡しており佐原洋子が既に本名となっている。
当然の事ながら僕もそういう事になるのだろう。
そして第3段階として、死亡率を下げることに重点を置いた研究結果が僕の飲んだ薬である。因みに僕が17人目の投与者だったらしい。
転換中に死んだのが6人で、転換後、意識が戻らなかったのが10人いるらしい。そして8人は既に死亡しており、残り2人は未だに意識が戻っていない状態という。戻れば成功といえるのであろうが、既に半年が経過しているらしくて臓器に衰弱が診られていて、もう長くはないだろうと言っていた。
ピンク色の水からあがったら次に只の風呂に入れられた。これは毛根を溶かしたあのピンク色の溶液を取り除く為らしい。
僕としては普通に風呂に入っている感覚なので何て事はないが、自分の身体が女性であり、しかもモデル並みのプロポーション、オマケに先程の永久脱毛でパイパンになってしまったのだから、この身体に興味深々である。
特に先程のピンク色の水に浸かっている時の気持ち良さが持続している今、自分で身体を撫でるだけで全身に電気が走った様な感覚が起こっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます