第11話 二学期の始まり(1)
「おはよー」
「おはよう」
ガラっと教室のドアを開けて挨拶をする。今日は9月1日。俺たちの通う
というわけで、いつものように二人で登校したのだが、席についた途端、クラスメイトに取り囲まれる。俺は男子グループに、
「お、おい。皆、どうしたんだよ?」
態度の違いに戸惑う。
「どうしたもこうしたも。
クラスメートの一人である、
「黙秘権を行使する」
実際のところは、国際学会でキスまで行った後の進展がないんだけどな。
「ということは、やっぱりイチャコラしまくってたんだな。うらやましいな」
「イチャコラってな……」
「涼子ちゃんとはいい仲だろ?海外旅行で二人きり。何も起こらないわけがない!」
「それ以前に、夏休み前はそもそも付き合ってなかったけど。つか、旅行じゃない」
まあいいかと真実を告げると、そいつはびっくりしたようだった。
「冗談は休み休み言えよ。いつも二人一緒で付き合ってなかったとか」
「いや、それが大マジなんだよ」
「はあ?なんだその設定」
「設定じゃないって。最近まで付き合ってなかったんだぞ」
そして、付き合った後も、キスの後は進展なし。
「マジか……。おまえ、実は鈍感主人公だったんだな」
「失礼な。あいつがちょっとわかりにくかっただけだ」
「毎日お手製弁当作って来てもらっといてか?」
「いや、だって、あいつが当然のように渡すからさ……」
そう抗弁するのだが。
「それはさすがにギルティだろ」
「それはねーわ」
「涼子ちゃんには同情するぜ」
口々に責められる。めんどくさい奴らだなあ。
「とにかく、今は付き合ってるから」
「やっぱ、付き合ってるんじゃねーか!」
「うらやましいことで、ほんと」
「イチャコラしてたなら最初からそう言えよ!」
逆ギレされた。どう言えと。
「とにかく、今は付き合ってるけど、これ以上話すつもりはない」
しっしっと男子グループを追い払う。
「善彦はこういうところ、いじり甲斐がないよな」
なんて好き勝手なことをいいながら、翔吾は席に戻っていく。同じく、窓側で1列前に座っている涼子はというと、女子グループに引き続き絡まれているようだ。
「他人の色恋なんて、そんな面白いもんかねえ」
頬杖をつきながら、そんな事を思う。そんな時。
「せんぱーい。お久しぶりです!」
そんな元気な声が教室に響き渡ったのだった。
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