第10話 舞台設定と登場人物紹介(1)

※次話から、第2章本編が始まります。


○舞台


・カナダ


 北米大陸にある国。物語は、カナダの都市トロントで始まる。


・トロント


 カナダ最大の都市で、冒頭の国際学会が開催された都市。


・ナイアガラの滝


 カナダの有名観光地で、アメリカとの国境にある。


・ICFG(International Conference on Formal Grammar)


 架空の国際学会。参加者がホテルに集って、1つの部屋で発表を聴く形式で進行する。とはいえ、トロントで行われる国際会議はいくつもあったりする。


・京都市


 主人公たちが通う高校がある都市。観光地として有名。


洛王らくおう高校


 主人公たちが通う高校。


○登場人物


織田善彦おだ よしひこ


 京都市の洛王らくおう高校に通う2年生。中学3年生のときに、恩人である増原ますはら教授に見いだされて、初めての学会発表を行う。そして、物語冒頭で、国際学会で、初めての英語論文発表を行うことになる。


 幼馴染の涼子を憎からず思っていたものの、あまり表情が変わらないので、色々気付かなかった模様。第2話で幼馴染の涼子に告白して付き合うことになる。


 査読付き論文を数本出しており、まだまだ研究者の卵だが、その若さで実績を上げていることで注目されている。専門分野は形式文法けいしきぶんぽうと。


徳川涼子とくがわ りょうこ


 京都市の洛王らくおう高校に通う2年生。中学3年生のときに、善彦と同じく、恩人である増原ますはら教授に見いだされて、初めての学会発表を行う。物語冒頭で発表された論文の共著者であり、善彦の幼馴染。


 女性としては高めの170cmに近い長身と、腰まで伸ばした黒髪に、スリムな体型、鋭い瞳が特徴的。感情を表情に出さないのが得意で、善彦に好意を持っていたが、気付かれなかった。


 第2話で善彦に告白されて付き合うことになる。


 査読付き論文を数本出しており、まだまだ研究者の卵だが、その若さで実績を上げていることで注目されている。専門分野は形式言語けいしき言語


増原栄一ますはらえいいち


 善彦と涼子を見出した、後進の育成に熱心な先生。まだ30代だが教授職についており、国際学会の運営なども行っている。自由人。


○用語


論文ろんぶん


 理系研究者の評価は、だいたい、査読付き論文ありき。論文と当人が言い張っていても、査読を通っていない場合は、まともな業績とはみなされないことが多い。査読については後述。


査読さどく


 論文の質を保証するためのシステム。基本的に、近い分野の研究者が提出された論文を見て、論文の構成がちゃんとしているか、新規性があるか、根本的なミスがないかなどを精査する。査読を通って、ようやく、ちゃんとした論文として評価される。当然ながら、論文の内容によっては、査読を通らないこともあり、これをリジェクトと呼ぶ。


国際学会こくさいがっかい


 正確には国際会議こくさいかいぎ。有名な国際会議は毎年開催されており、その度に開催地域が変わる。研究者が集まり、研究について議論したり、論文を投稿したりする場所。計算機科学の分野では、国際会議の査読付き論文が高く評価される傾向がある。


座長ざちょう


 座長と書いてチェアと読むこともあるが、同じ意味。発表の司会進行をしたり、質疑応答をとりもったりするのが役割。質問がさっぱり出ない発表の場合は、座長が気を遣って質問をすることも。


この分野は専門外なのですがこのぶんやはせんもんがいなのですが


 研究者が質問をするときによく使う枕詞。類義語に、「この分野は素人なのですが」などがある。世界的な研究者になると、専門外であっても、慣れていない人の発表の欠陥には容易に気づくことができるため、この言葉を使う偉い先生はしばしば恐れられる。が、本当に攻撃のために使う人は稀で、凄くない人も普通に使う。


・第1著者


 英語ではFirst Author。複数名で書いた論文(共著論文)で、一番貢献した人。特に、論文を主に執筆するのは第1著者なことが多い。


・第2著者


 英語ではSecond Author。複数名で書いた論文(共著論文)で、二番目に貢献した人。

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