機械仕掛けの人形劇

ソラ

破滅の夢

建物は炎を包まれ、崩れ、遠くからは悲鳴泣き声怒鳴り声が聞こえてくる。その中『それ』は立っていた。『それ』は少年にも少女にも見える。しかし、人間ではない。ボロボロの服から見える肌から皮膚のようなものが剥がれていた。だがそこから血ではなく、赤青緑といった導線が見えていた。数本切れているようで時折火花がバチバチと出ている。


「ヒm…ru…i、oん…エu…み、nな……ど、ko……」


ノイズ交じりの音を発しているため何を言っているのか聞き取りにくい。辺りを見回しているため、誰かを呼んでいるようにも聞こえる。


「m、んna…」


『それ』は自身の手を見て、歩く足を止めた。手は黒く、怪物のような鋭い爪だった。その爪には血がついていた。『それ』に血は流れていない。知らない誰かのものだ。


「…」


手を見つめて黙っていた。普段、手を保護していた服の袖はちぎれてなくなっている。

どのくらいの時間がたったのかわからないが、口を開いた。


「こ、のteじゃ…naにもさwaれnaい…」


誰の耳に届くことないその音は宙に消えていった。

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