波打ち際を歩くように

麻城すず

波打ち際を歩くように

4月の桜は、とても切ない。


これを美しいと素直に言える人は、きっと今、とても幸せなんだと思う。


そう思えない私は、だって今、全然幸せじゃないんだもの。


目指した行き先。

空回りの思い。

結果、不合格。


波打ち際を歩くようにおぼつかない足元。


波にさらわれないように。


誘う群青に溺れてしまわないように。


今の私は幸せじゃない。


でも本当は、きっと幸せ。


進む道を、まだ目指すことを許されているのだから。


波打ち際を歩くように、不確かな感触に、進む足を取られないように。


目指すものさえ見失わなければ、きっといつか桜の美しさを知ることが出来る。


それに気付いた時、感じた切なさは、霧散するように空気に溶けていった気がした。


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波打ち際を歩くように 麻城すず @suzuasa

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