第3話

 その日は何故か、寂しさに耐えきれず私から男の方に連絡を取った。

 珍しいことだったからか、その人あった男はとても嬉しそうで、聞いてもいないことをベラベラと喋り続けていた。

 私は彼が不快にならない程度に適当な相槌を打ちつつ、こっそり彼の連絡先を消した。

 もう、彼と一緒にいるのさえも不快だったが、私から誘った手前夜まで居ないと行けない気がして、興味のない話に付き合い、ただ吐き気と不快感しかないキスとセックスをして眠りについた。


 翌朝、自分の体が穢れてしまった感覚に蝕まれながら目を覚まし、少しでもこの汚れを落としたくなって朝日を浴びながらタバコを吸う。

 後ろのドアが開く音がして彼がコーヒーを手にベランダに出てきた。

「おはよ」

 正直、会う前に部屋を後にしたかったが起きてきたのならしょうがない。

「麻衣、今日仕事は?」

 運がいいことに彼の方からそんな質問をしてくれたのでそれに乗っかることにした。

「今日は10時からだからこれ飲んだら家に一回帰るね」

 本当はもうバイトも全てやめてしまったが、仕事がないことを伝えると、離してくれそうにないので嘘をつく。

 少し前までは素嘘をつくことに罪悪感を抱いていたはずなのに、いつの間にか罪悪感を感じなくなってしまっている自分にちょっと嫌気がさしてきた。


 家に着いても、昨日からの気持ち悪さは抜けず、だんだん蝕まれて行く感覚が体の奥底まで侵食していくように感じてしまい、シャワーを1時間くらい浴びていた。

 肌が少し赤くなるほど体を洗い、流すを繰り返す。

 それでもやっぱり気持ち悪くて忘れ去るための誰かに会いたくなり、携帯を手に持った。

 連絡先をスクロールしていき、ふと元彼の連絡先を押してしまった。

 もう、スマホは呼び出しを初めてしまい、引くにひけなくなってしまう。

 聞きなれた誰でも想像できるような音を聞きながらつくずく最低な人間だと言うことをかんじてしまう。

 別れを自分から告げたくせに、彼への想いを断ち切れずその夜は1人泣いてしまっていた。

 もし彼に復縁を求められたら、寄りを戻してしまいそうで、自分のしたことの罪悪感に押しつぶされそうになってしまいそうで、彼の嫌いな人間を演じるために、タバコを始め、男と遊ぶようになった。

 そんな私を彼は許してくれるのだろうか?いや、なぜ許してもらおうと思っているのだろう。

 でも、この気持ち悪さから解放されたくて、私は彼に助けを求めた。

 4回ほどコールした後に彼が電話に出た。

「久しぶり、ねぇ今日会えない?」

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