第2話

 目を覚ますと金髪でガタイのいい男が横にいた。

 あぁそうか、昨日の夜、彼のところに来てそのまま止まったままだった。

 私が体を起こすと彼も起きてきた。

「おはよう」

 んーと言いながら彼は体をひねらせ抱きついて来る。

「麻衣、好きだよ」

 この男は、朝の挨拶がそれか、まぁ私も一応「私も好きだよ」と言って返事をしておく。

 すると見た目には似合わないような声を出したがら甘えてくる。

「ねぇ、俺はこんなに麻衣のこと好きなのにまだ…」

 どうせ彼の言いたいことは分かっているし、彼の望む関係になろうとも思っていないので、彼の言葉を遮って唇を重ね、舌を絡める。

 私たちは声にならない声を出しつつまた、ベッドの中に沈んで行った。


 彼の家を出たのは昼過ぎになってからだった。

 3日ぶりに自分の家に帰り、酒とジュースしか入っていない冷蔵庫を開けて缶ジュースを1本手に取る。

 そのままベランダに行き煙草に火をつける。

 今夜は自分の家にいようかまた他の男のところに転がり込んで寂しさを紛らわそうかなんて考えつつスマホをいじっていると、男から電話がかかってきた。

 電話に出ると今から会いたいという内容の電話だったので、彼に甘えて私も寂しさを紛らわせることにした。

 電話が終わったらまだ二口くらいしか吸っていないタバコが短くなって吸えるほど残っていなかった。

 あぁ、貴重な1本が、、、

 しょうがない、新しいの吸うか、、、


 ベッドの上で体を重ねる度に、理由の分からない虚しさと、孤独に苛まれる。

 彼氏を作る気もないので、セフレを何人も作り、都合のいい男の家を毎晩渡り歩き家に帰らない日も少なくはない。

 何人かは本当に私のことを愛してくれていて、それはきちんと伝わってくるがそれでも私は、やっぱり彼らとは今の関係から進める気は無い。

 言葉だけの好きを伝え、体をだけの関係、それが彼らと私との適切な距離感で、多分それ以上進めると私は依存しすぎてしまう。

 いつも通り少しの世間話と酒で時間を潰し、夜がふけたらベッドの上で体を重ね合う。

 体に触れる少しゴツゴツとした手がほんと少しの安心感を与えてくれ、野生の動物のような雰囲気が彼と自分の間にある深い溝を教えてくれて間違いが起きないようにしてくれた。

「何か悩み事でもあった?」

 彼か不意にそんなことを聞いてきた。

 私は少しだけ考えて、なんにもないよ?気持ちよかったなーって思ってはいたけど、と話をそらす。

 そう言いながらタバコを手に取り、火をつける。

 すると彼もタバコを手に取り口にくわえたまま先を私の加えたタバコに近ずけてきた。

 匂いの違うタバコが混ざりあって不快な臭いに変わる。

「麻衣はいつからタバコ吸ってるの?」

「えっと確か、1年くらい前かな?前々から仕事のストレスとかで吸いたいなーとは思ってたんだけど、前の彼氏がタバコが嫌いでね、吸えなかったんだよね。まぁ、別れたからやっと吸えるようになったって感じかな」

 彼は聞くだけ聞いときながら興味がなかったらしくへーとだけ答えてその会話は終わった。

 その後はタバコを1本吸い終えるまで会話もなく、無言に耐えきれなくなったのでまた、体を重ね合わせて眠りについた。

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